カラオケで歌いたい昭和の名曲たち。その魅力はどこにあるのか。ここでは、吉幾三『酒よ』、サザンオールスターズ『いとしのエリー』、中島みゆき『糸』、石川さゆり『津軽海峡・冬景色』の4曲を紹介する。
グッとくる歌詞がちりばめられている
「思わず感情がこもる歌です」(58歳・会社員)という声も聞かれるのは、吉幾三の名曲『酒よ』だ。
歌手の山本譲二(72歳)が、吉幾三との関係があるからこその秘話を、披露してくれた。
「『山本、この曲聞いてくれ』と言われ、発売前に行きつけの店で『酒よ』を初めて耳にしました。『吉、この詞に嘘ないな。いい歌だよ』と感心していたら、『山本のために作ったんだ。お前が歌うんだ』と言われましてね。酔いも冷めましたよ。『マジかよ。テープくれ』と次の日から一生懸命覚えました。
1週間後、何気なくテレビを付けたら、アイツが歌っているんですよ。一杯食わされましたね(笑)。もう40年近い付き合いになりますけど、吉は情があって、人のために涙を流せる。本当にいいヤツです。この歌は頑張っても上手くいかない時に聞くと、グッとくる歌詞がちりばめられてます」
言葉そのものがリズムを持っている
「カラオケの終盤では必ず誰かが感情を込めて歌っていた、思い出の曲です」(58歳・会社員)と慕われるのは、サザンオールスターズの『いとしのエリー』だ。
音楽評論家のスージー鈴木氏(55歳)が語る。
「今では信じられないことですが、それまでのサザンオールスターズにはコミックバンドのイメージが定着しつつありました。それを払拭し、現在に通じる姿を確立したラブバラードです。コミカル的な要素は鳴りを潜め、日本人に親しみやすいセンチメンタルな歌詞とメロディで構成されています。
でも、ここが桑田さんらしいのですが、サビが少しリズミカル。歌詞に「っ」が続き、言葉そのものがリズムを持っている。伴奏に合わせづらいし、音程も取りづらいので、サビを歌う時には細心の注意を払うことが必要です」