日本を代表する元プロ野球選手の村田兆治さん(享年72)が、火災により死亡した。当時、自宅には村田さんひとり。2人の子供は独立し、糟糠の妻とは10年以上前から別居していたという──晩年の彼に起きていた“異変”とは。
「昭和生まれの明治男」。1990年に開催された、第7回「ユーキャン新語・流行語大賞」。その年は「ちびまる子ちゃん」「アッシーくん」などの新語・流行語が選ばれたが、特別部門の語録賞を受賞したのが、この言葉だった。
受賞者は、その2か月前に引退したばかりの元プロ野球選手・村田兆治さん(享年72)と妻の淑子さん(74才)。
村田さんは元ロッテオリオンズのエースで、野村克也さん(享年84)、星野仙一さん(享年70)らと並ぶ球界のいぶし銀だった。通算215勝33セーブを挙げ、2005年に野球殿堂入りを果たす。
「引退後もトレーニングを怠らず、60代でも現役選手顔負けの130キロ台の速球を投げていました。ストイックな性格は私生活でも変わらなかった。家庭では明治時代の家制度を踏襲するような“専制君主”だったそうで、淑子さんが、“昭和に生まれたのに明治男のような性格”と評した言葉が、当時、大きくウケたのです」(スポーツ紙記者)
頑固一徹で昔気質の男──時代遅れともいわれそうな村田さんの早すぎる死は、プロ野球界のみならず、多くの人に驚きと悲しみをもって受け止められた。
11月11日の午前3時過ぎ、東京・世田谷区の村田さんの自宅から、爆発音とともに火の手が上がった。
「バタン、ガタンという金属がぶつかるような衝撃音が30分ほど鳴り響いてから、火事になった」(近隣住民)
119番通報を受けて消防隊員が駆けつけたが、村田さんは心肺停止の状態で、午前5時57分、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は一酸化炭素中毒とみられる。
「村田さんは自宅にひとりで、玄関は施錠されていた。出火元は最も激しく燃えていた2階のリビングです。村田さんが見つかったのは、同じフロアにある、衣類などが置かれた小部屋。部屋着姿で床に座っていたといいます。体にやけどなどの目立った外傷はないそうです」(全国紙社会部記者)
当初、「たばこを手に持っていた」と一部で報じられたが、搬送時の村田さんは何も持っていなかった。
「現状、暖房器具やたばこなど、火の元になるようなものは見つかっていません。一方で、遺書はなく、家族に自殺をほのめかした事実もないようです。『謎の死』を解明するべく、捜査は続いています」(前出・全国紙社会部記者)