《真っ暗で、どこにも進めない。どこからも光が差してこない。もう何もやりたくない。これまで生きてきてそう感じたことが何度もありました》──かつて著書にこう記した松原千明さんが今秋、急逝していたことが分かった。
1997年にアメリカ・ハワイに移住し、日米を行き来して芸能活動を行いながら、四半世紀にわたってハワイで生活してきた松原さん。その最期はどんな様子だったのか。
ハワイ・ワイキキ。燦燦と輝く太陽が、ビーチを楽しむ人々の顔に照りつける。コロナ禍で減少していた観光客も戻り、陽気で明るい“常夏の楽園”は賑わいを見せていた。そんな喧騒から少し離れた閑静な住宅地に立つヴィンテージマンション。高層階からはハワイの美しい夕陽や海を一望できる。
このマンションに現地の警察官が騒々しく駆け込んだのは、今年10月8日のことだった。ここに住む日本人女性が急死したというのだ。マンションの住人が語る。
「ミズ・バウワーは亡くなったよ。薬のオーバードーズ(過剰摂取)が原因だと聞いている。自殺か事故かはわからない。彼女はずっと体調が悪く、部屋に引きこもっていたようだからね。すでに荷物は家族が引き取って、別の場所に運び出されている」
不慮の死を遂げたミズ・バウワーの本名は、チアキ・バウワー。女優の松原千明さん(享年64)のことである。
松原さんは1958年、京都生まれ。父は時代劇俳優、母は宝塚歌劇団卒業生という芸能一家に育ち、1980年にカネボウのキャンペーンガールとして芸能活動を開始。同年公開の映画『地震列島』で女優デビューした。その後はテレビドラマを中心に活躍し、1988年からは人気番組『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送テレビ)の初代秘書役を務めた。
明朗活発なイメージの松原さんが世を賑わせたのが、元夫・石田純一(68才)との結婚と離婚騒動だ。
「2人は7年間の交際期間を経て1988年に結婚し、1990年に長女のすみれさん(32才)が生まれました。しかし幸せな日々は長く続かず、1996年に石田さんの不倫が発覚して夫婦関係が破綻。石田さんが『不倫は文化だ』騒動で世間から大バッシングされて、翌1997年に松原さんはすみれさんを連れて逃げるようにハワイに移住し、1999年に夫婦の離婚が成立しました」(芸能関係者)
ハワイに渡って四半世紀。当初、松原さんは広さ約150平方メートルの超高級コンドミニアムに住んでいたが、近年は暮らしをダウンサイズしていたようだ。彼女が住んでいたのは築50年近いマンションの一室で、広さは約63平方メートル。愛犬のボストン・テリアとともに暮らしていた。今年4月に長男を出産して母になったすみれは、息子と引き換えるかのように母を失ってしまった。
愛する母の突然の死から1か月。すみれは現在も茫然自失の状態で、音信不通が続いているという。
「すみれちゃんは仕事の予定をすべてキャンセルし、頻繁に更新していたSNSのうち、お母さんのことや生まれたばかりの子供のことなど、家族に関するものはほとんど削除してしまった。それにLINEで彼女に連絡しても返事が来ないどころか、既読にすらならないんです。みんな彼女の精神状態を心配しています」(すみれの知人)