『君の名は。』(2016年)や『天気の子』(2019年)の大ヒットで有名なアニメーション監督・新海誠の3年ぶりの新作『すずめの戸締まり』が、大好評上映中だ。今回の舞台は日本各地の廃墟。災いのもととなる“扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描く冒険物語となっている。
新海監督の作品は日本のみならず世界中で支持され、特に日本映画の世界歴代興行収入2位となった『君の名は。』は、アジア圏やヨーロッパ圏でも大人気を博した。なぜ新海作品はこんなにも人々の心を掴んで離さないのか? 『すずめの戸締まり』の3つの見どころに合わせて、分析します!
【見どころ1】美しい風景描写にうっとり
新海作品の大きな魅力のひとつが、最新のデジタル技術を駆使して描かれる圧倒的な映像美。特に雲や空など自然のうつろいの描写は圧巻だ。今作でも九州から東北まで、ロードムービーのように日本各地の美しい風景を見ることができる。
【見どころ2】オーディションで選ばれたフレッシュな声優たち
『君の名は。』の上白石萌音や『天気の子』の森七菜のように、新海作品のヒロインはオーディションで選ばれることが多い。今回、1700人を超えるオーディションから主人公・岩戸鈴芽役を射止めたのは、19歳の女優・原菜乃華だ。また、扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年・草太役には、同じくオーディションで松村北斗が選ばれた。みずみずしい2人の声の芝居にも注目。
【見どころ3】東日本大震災の描写も…社会へのメッセージ
『すずめの戸締まり』の公式ツイッターからは、公開前に「地震描写および、緊急地震速報の警報音が流れるシーンがある」と注意喚起が行われた。自然災害を主人公が乗り越えていく姿を描くのも、新海作品に共通するテーマだ。当たり前の日常が当たり前ではなくなり、不安や不自由さを抱えながら生きている人々に、新海監督が作品を通じて何を伝えたいのか──その答えは、ぜひ劇場で自分の目で確かめてほしい。
まだまだ知りたい新海作品の世界
新作公開にあわせて、過去の新海誠監督作品も紹介しよう。
『言の葉の庭』(2013年公開)
新海監督の5作目の劇場アニメーション映画で、万葉集を引用した恋の物語。公開後にじわじわと評判が広まり、最終的には1億5000万円の興行収入を得た、隠れた名作。
『君の名は。』(2016年)
東京に暮らす少年・瀧と飛騨地方の田舎町で暮らす少女・三葉の身に起きた「入れ替わり」という謎の現象と、地球に接近する彗星をめぐる出来事を描いた物語。
『天気の子』(2019年)
離島から東京に家出してきた少年・帆高と、祈るだけで空を晴れにできる力を持つ少女・陽菜が出会い、自らの生き方を選択していく。第43回日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞と最優秀音楽賞を受賞。
※女性セブン2022年12月1日号