街がクリスマスシーズンのイルミネーションで彩られ、あっという間に冬がやって来た。すでに年末年始の予定を立てている人も多いだろう。しかし、新型コロナウイルスの感染者数が増え、またもや不穏な空気が漂い始めてきた。冬の予定をどうするべきか──専門家らによる最終結論。
感染者が増え始め、「第8波」の入り口に入ったとされる新型コロナウイルス。政府からは「対策強化宣言」という新しい言葉も飛び出すなど、警戒感が高まっている。国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎さんが説明する。
「『対策強化宣言』とは、第7波と同程度かそれを上回る感染状況になった場合に、都道府県が住民に対して感染リスクの高い場所への外出や、大人数での会食などの自粛を求められるようにするものです。厚生労働省はこのままいくと12月までに第7波のピークを超えると予想しています」
予防策として加藤勝信厚労相はワクチン接種を盛んにすすめているが、オミクロン株対応ワクチンの接種率は全人口のわずか6%台に過ぎない。
「接種疲れもあり、若い世代を中心に、症状が軽いからかかってもいいと考えている人が多い可能性があります」(一石さん)
感染者が増えるなか、ワクチン接種が進まないことに不安を募らせる人もいる。
「周りの人にも、警戒心が薄れている人が多い。このままでは年末年始にかけて、ひどい状況になるのではないかと心配です。年末に家族で旅行の計画を立てているのですが、キャンセルした方がいいのでしょうか……」(都内在住・40代の主婦)
海外に目を転じると、多くの国ではとっくに日常生活を取り戻している。現在、新型コロナの感染状況が国内で話題になっているのは中国やノルウェー、オーストラリアくらいのもの。日本同様に感染が増え始めているお隣の韓国では、マスクの屋外着用は自由だ。
日本へ旅行に来ている外国人からは「なぜ、日本人はまだマスクをしているの?」「周りに人がいない公園でマスクをしている人がいたことに驚いた」という声が上がっている。医療ガバナンス研究所理事長で、内科医の上昌広さんが言う。
「マスクはそもそも予防効果が2割程度しかないことが、臨床研究で明らかになっています。少なくとも屋外ではつける必要はない」
それでもマスクをつけ続けるように、日本ではまだコロナ対策に世間の目は厳しく、感染拡大による自粛傾向も残る。前出の女性のように、年末年始の旅行や帰省に悩む人も多い。実のところ、この年末年始はどうすべきなのか。上さんは、旅行や帰省をしてもかまわないと言う。
「オミクロン株はそれほど怖くありません。弱毒化していて、感染しても症状は軽い。一方、感染力は強いので感染者数は増えると思われますが、持病のある高齢者以外はあまり気にする必要はないでしょう。高齢者はともかく、若年者は感染しても重症化しにくいので、重症化予防目的のワクチンを打たなくてもいいでしょう」(上さん)
一方で気になるのはオミクロン株に続いて海外で拡大している、「グリフォン」「ケルベロス」という新変異株だ。