米国の大手金融雑誌「フォーブス」がこのほど発表した中国の富豪の最新のランキングによると、トップ100人の総資産は、昨年の1兆4800億ドルから今年は9071億ドルと1年間で40%近く減少していることが分かった。これは新型コロナウイルスの感染拡大で、政府が厳しいゼロコロナ政策をとり、流通などが滞ったためとみられる。
フォーブスの番付では上位100人のうち、今年資産を増やしたのは「晶澳太陽光エネルギー」の創業者である金宝芳氏と、やはり太陽光を扱う「天合光能」の創業者である高智氏の2人だけで、他の98人はすべて昨年の資産額を下回る結果となった。
トップ5は昨年と同じで、ランキング1位はミネラルウォーター最大手の農夫山泉やワクチン開発の北京万泰生物を経営する鍾センセン氏(セン=目編に炎)。鐘氏はPCR検査キットの供給などを一手に引き受けたことが2年連続1位の大きな要因となった。しかし、総資産は昨年から5%減だった。
2~5位の富豪は昨年から大きく資産を減らしている。 2位はバイトジャンプの創業者である張芸銘氏で、昨年に比べて99億ドル減少した。 3位は世界最大の電気自動車用バッテリーメーカー寧徳時間の曾宇群会長、4位はテンセントの創業者馬化騰氏とアリババの創業者ジャック・マー氏だったが、この3人は昨年に比べて40%以上財産を減少させた。
一方、中国の民間シンクタンク、胡潤研究院がほぼ同時期に発表した中国富豪ランキング「胡潤百富榜」2022年版でも、超富裕層の総資産額が過去20年余りで最大の減少を記録している。
ランキング対象は純保有資産が最低でも50億元(6億9200万ドル)の富裕層。今年の対象人数は1305人と前年比11%減。総資産額は同18%減の3兆5000億ドルで、このうち純保有資産100億ドル以上は29人減って56人、100億ドル未満は239人減って946人。
これについて、胡潤研究院は「ロシアのウクライナ侵攻や中国の『ゼロコロナ』政策、習近平指導部によるIT・ゲーム部門締め付けや不動産部門規制強化のほか、中国本土株と香港株の下落が響いた」と分析している。