精神科医の和田秀樹氏が書いた『80歳の壁』がベストセラーになっているが、健康寿命を延ばすためには何を心がければ良いか──それを知る“生き証人”が80歳を越えた今も現役で活躍する医師たちだ。原宿リハビリテーション病院名誉院長の林泰史氏(83)に、実践する健康法を聞いた。
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東京・原宿にある私が勤めるリハビリ病院の入院患者さんの平均年齢は80代ですが、近隣の高齢者は元気な人が多く、最後まで自分の足で歩きたいという人が多いようです。
今年で83歳になる私も同じで、妻と子供の3人で暮らしていますが、いろんな意味で自立していたいと思っています。
そのための健康習慣で大切にしているのは、まず食事です。朝昼晩の3食をきちんと食べています。朝は4時に起き、5時から6時までの間に朝食を摂ります。7時過ぎには出勤しています。
食事内容は、和食も洋食も中華も何でも食べます。油物を控えることもしません。たくさん食べ過ぎるのは禁物ですが、ある程度の量を食べるのは大事です。
私は昭和14年生まれですが、身体が大きく育つ時期に戦争で十分な食べ物がなかった世代です。そういう人は筋力や血管が弱く早死にすると新聞に書かれたこともありますが、一方、若年期に飢餓体験を持っている分、何でも大事に食べます。
それからもう一つ大切にしているのは、歩くことです。週3日の勤務日以外は、1日に1万5000歩は歩くようにしています。運動では歩くのが一番手軽だし、周りの景色を見ながら歩くのは実に楽しいことです。
その際、大事なのは「歩き方」です。歳を取ると筋力が落ちて、すり足のような歩き方をしがちですが、そうではなく、しっかりと足を上げ、かかとから地面に着いて、小指から親指まで地面を踏むことを意識します。歩数を増やすことより、かかとから着いてつま先から離れるような歩き方をすることが大事です。