社員が会社で突然、料理を始め、社長は「おいおいおいおい」「何やってるんだ!」と諫めながらも、出来上がった美味しそうな料理の誘惑に負けて食べ、笑顔で「うまーい!!」と叫んでしまう動画がTikTokやYouTubeでバズッている。宮城県仙台市の建設会社「株式会社リンクロノヴァ」が発信する『ながの社長のハッピーチャンネル』だ。社長含め社員5人のこの会社が、なぜこのような動画投稿を始め、なぜ成功したのか。ながの社長こと長野雅樹社長(45)と、動画に登場する“料理を作る部下”ケイタさん(27)を直撃した。
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──『ながの社長のハッピーチャンネル』がTikTokのフォロワー80万人、YouTube74万人と人気です。
ながの社長「2020年10月に、TikTokやYouTubeなどのSNSで発信を始めました。ツイッターやフェイスブックは自分で何とかなっても動画制作は難しいので、始めた当初は月60万~70万円の費用をかけ外注していました。ところが、毎月60万~70万円がただ“溶けていく”一方でした。これではダメだ、と同年12月に動画企画・制作・投稿専門の従業員(ケイタさん)を雇い自社発信に切り替えました。
2021年4月に再スタート後もフォロワー数、視聴者数は微増だったのですが、約1年後、このゴールデンウィークの少し前くらいからTikTokがなぜか急に伸び始め、YouTubeはフォロワー(登録者数)600人ぐらいだったのが、5月の2週目ぐらいから一気にドン、ドンと数字が伸びました」
──ここ半年で急激にきたのですね。
ながの社長「正直、ここまでバズるとは思っておらず驚いています。バズっているのは肌でも感じ、街を歩けば『見ています』と声をかけられ、『写真を一緒に撮ってください』と頼まれ、農家さんから調理用に野菜をいただいたり(笑)。家族の変化が一番嬉しいですね。嫁と5歳の娘、3歳の息子がいるのですが、嫁は撮影日の前になると、『ご飯を炊いておくね』と気を利かせてくれ、子どもたちは動画を見て笑ってくれるようになりました」
ケイタさん「とくにYouTubeはウンともスンとも言わなかったので、急に動き出して驚きました。こんな経験なかったですから。僕はもともとYouTubeとかが大好きで、よく見て吸収し、クリエイターとしてSNSで成功したいと思っていました。まだバズって半年そこそこなんで、まだこの先の目標やSNSでやりたいことがたくさんあり、今はそのプロセスを楽しんでいる、という幸せな状況です」
──成功した理由は何だと考えていますか。
ながの社長「建設業界でSNSを活用している企業はあまりほかに聞かないので、やり続ければ勝てるのかな、とは思っていましたが、偶然が重なった部分が大きいと思います」
ケイタさん「狙って当てました、とカッコよく言いたいところですが、狙い3割、運7割。一連の流れの動画をあの編集で、あの尺で、あれぐらいの内容のものを詰め込んでいる、というフォーマットがすごく時代に合っていたのだと思います」
ながの社長「分業ができていたのも良かったと思います。僕は続けるために必要なお金を捻出するけど、企画には口を出さない。ケイタはお金のことは考えず面白い動画を作ることに集中する、という。YouTubeの広告収入が入ってくるようになったおかげで、これからほかにもいろんなチャレンジができるな、と思っています」