大相撲九州場所のウラで、前代未聞のトラブルが起きている。7月の名古屋場所で初優勝を果たした逸ノ城(前頭2枚目)と師匠である湊親方(元前頭・湊富士)の確執が深まり、ついにはあらゆるやり取りが「弁護士を通じて」のものになった。【全3回の第3回。第1回から読む】
相撲協会の日和見
歪な師弟関係の問題を抱えながら、7月の名古屋場所で逸ノ城は優勝。関係改善のきっかけは見出せないままとなった。
8月には湊部屋で収録が行なわれる予定だった相撲協会公式YouTubeの収録に逸ノ城が姿を見せず、撮影が延期になる騒ぎも起きた。湊部屋後援会幹部が語る。
「その時も前日に飲み過ぎて連絡がつかなかった。後日、部屋で親方とおかみさんに“すみませんでした”と謝るんですが、親方が“しばらく部屋で生活しろ”と言うと、そこからは“弁護士を通してください”となってしまう」
福岡県糟屋郡久山町にある湊部屋の九州場所宿舎では、逸ノ城も朝稽古に姿を見せるものの、親方との会話はない。稽古を終えて風呂で汗を流すと、そのあとちゃんこ場には向かわず、宿舎内の自室にこもってしまう。会場に向かう時間になると黙って車に乗り込むという繰り返しになる。
別の湊部屋関係者はこう証言する。
「親方と金銭トラブルがあるような報道もあったが、湊部屋は金銭面ではガラス張りです。餅つきなどでの祝儀もすべてオープンにして1円単位に頭数で分けるし、関取のテレビやCM、イベント出演料は個人口座に入れるかたちにしている。もともと逸ノ城も親方を尊敬していて、昨年9月に帰化した際は師匠の名字をもらい、三浦駿を名乗っている。なぜ、こんなことになったのか……」
前出の後援会幹部は「親方は逸ノ城が立ち直るきっかけを模索しているはず」と話す。
「逸ノ城が弁護士を立ててきた2月の段階で、湊親方は協会に相談している。おかみさんへの暴力を問題視するのではなく、酒癖の悪さを放っておけば大変なことが起こりかねないという相談だった。しかし、協会は部屋で解決してくれの一点張りだったといいます。場所前に報道が出てからも協会に呼ばれたそうだが、協会として関与する動きはないようだ」