女優・長澤まさみ(35)。デビューから20年余、その魅力はどんどん増しているのではないか。変幻自在の演技を見せる彼女はいかにして国民的女優への道を歩んできたのか。初主演映画を撮り終えた長澤は、話題作の主演に次々と抜擢されるように──。【前後編の後編。前編から読む】
「北風が怖い……」
2004年、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』に出演。白血病で頭髪が抜ける少女を演じるため、長澤は自ら志願して髪の毛を剃ってスキンヘッドになった。
堀越高校で3年間クラスメイトだった親友で女優の鈴木杏(35)が振り返る。
「映画の撮影直後のまだ髪が伸びていない間、まさみちゃんはウィッグをつけて登校していました。ある冬の日、頭を手で押さえながら『北風が怖い……』と言いながら教室に入ってきたのが、面白くて可愛くて今でも覚えています」
その後も高校在学中に映画『タッチ』、『ラフ ROUGH』など話題作に立て続けに主演。高校生ながら既に風格さえ漂っていたという。
『タッチ』の犬童一心監督は、『ロボコン』を観て長澤のスター性に魅了されていたが、初対面での第一印象はシンプルなものだった。
「普通の女の子だなあ」
だが、撮影が始まると長澤は画面に映えた。
「カメラとの相性がよくてフォトジェニックだった。彼女が画面の中で立っているだけで、周囲を説得する力がある。黙っている横顔ですら中身が充満している。これからトップ女優になっていくんだろうなと思って撮影していました」(犬童監督)
当時の共演者も長澤の持つ独特の雰囲気を感じ取っていたようだ。
2005年にドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)で共演した長谷川京子(44)が語る。
「初めてまさみちゃんと会ったのは、彼女が17、18歳の時だと思います。第一印象はとにかくピュア、清純。彼女よりセーラー服の似合う子はいないと思いました。話すととても繊細。だけど人を笑わすようなこともしてくれる。この頃からとても魅力的な女性でした」
女優として飛躍を遂げた高校時代。切磋琢磨した鈴木が言う。
「高校3年間、不安なことや成長期特有のもどかしさが同時に渦巻く中、おしゃべりしたり笑い合ったりすることで無意識のうちにお互いを温め合っていたから、成長できたのかもしれません」