6年ぶりの最下位に低迷した中日が、大幅なチーム改革を断行している。内野のレギュラーだった阿部寿樹とトレードで楽天から涌井秀章を獲得すると、京田陽太とDeNA・砂田毅樹の交換トレードを11月18日に発表した。戦力外や引退の選手も含めると今季開幕戦のメンバー7人が姿を消すという大規模な血の入れ替えを断行している。
今回、チームの功労者だった阿部、京田を相次いでトレードで放出したことに、一部の中日ファンから批判の声が上がっているが、セ・リーグの編成担当は別の見方を示す。
「涌井はウチも欲しいと思って、トレードの獲得リストに入れていた。36歳とベテランの域に入っているけど、肩、肘で大きな故障がないしスタミナもある。直球のキレもあるし、十分に計算できる。中日が阿部を出すとは思わなかったけど、ドラフトで二遊間の選手を3人獲得している。現状を打破するために、出血覚悟で若手に出場機会のチャンスを与えたいと考えたんだろう。京田も近年はくすぶっていたからね。左の救援はどの球団も不足している。砂田は力がある投手なので良い補強だと思う」
京田のトレードは納得できる部分がある。1年目から遊撃のレギュラーで活躍してきたが、近年は打撃不振で下降線に。自慢の堅守でもミスが目立つようになっていた。今季は覇気のないプレーが立浪和義監督の逆鱗に触れ、5月4日のDeNA戦で試合中に名古屋へ強制送還。ファーム降格を告げられた。その後も1、2軍を往復し、43試合出場で打率.172、3本塁打、8打点。高卒2年目の土田龍空が遊撃で出続けるようになり、京田の居場所はなくなっていた。
阿部は自己最多の133試合出場で打率.270、9本塁打をマーク。チームトップの31二塁打と広角に長打を打てるのが強みだ。本来は6、7番タイプだが、リーグワーストの414得点と貧打が深刻な中日で、クリーンアップを担った。貴重なポイントゲッターだったが、併殺打が多く足が速い選手ではない。32歳という年齢で今後のチーム作りを考えた時、立浪監督は若手の育成に舵を切った。
中日を取材するスポーツ紙記者は、「トレードはこの2つで終わらない可能性がある」と予測する。
「捕手の頭数が明らかに足りない。木下拓哉が核になるが物足りなさも残る。正捕手の座を脅かす選手が必要です。日本ハムの清水優心、ロッテ・田村龍弘、同一リーグですが、巨人・岸田行倫は有力候補になると思います」