同じ時間帯に毎日放送される「帯ドラマ」。近年、「朝ドラ」以外にも放送されるケースが増えている。その理由とは? コラムニストのペリー荻野さんが分析する。
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近年、「帯ドラマ」が存在感を増している。その代表といえば、60年以上の歴史を誇るNHKの朝ドラだ。今年も『カムカムエヴリバディ』から始まって、沖縄と東京を舞台にした『ちむどんどん』、現在の『舞い上がれ!』と、時代もスタイルもまったく違う三作が出そろった。
NHKでは、今春スタートした月曜日から木曜日の「夜ドラ」も奮闘中。井上祐貴、桜田ひよりらが出演した第一弾の青春ミステリー「卒業タイムリミット」に始まり、BSプレミアム・BS4Kで話題を集めた『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』、平凡な住宅地に逃亡犯が?という騒ぎを描いた『つまらない住宅地のすべての家』など、ミステリー、SF、人情ドラマなどさまざまな作品が放送されている。
中でも、元キャバ嬢のシングルマザー山崎亜子(仁村紗和)が、尼崎の実家に戻って宅配の仕事を始める『あなたのブツが、ここに』は、涙と笑いを盛り込みながら、コロナ禍や母子関係、激しいクレームやパンツ一丁で受け取りに出てこられたりする宅配業のリアルが描かれた秀作だった。
油断できないのが、日本テレビ系の『ZIP!朝ドラ』だ。7時50分くらいから5分という放送時間ながら、中身は濃い。錦鯉の若き日々を描いた『泳げ!ニシキゴイ』では、娘(長谷川雅紀の姉・片山友希)の大学受験料をパチンコに使って、人生に絶対(勝てる)はないと勉強になったなどと言うダメ親父・純一(シソンヌじろう)も困りものだが、「父ちゃん、勉強したんだね」とか言い出す長谷川って。朝から口あんぐりなんてこともあった。今は高校生の合唱コンクールを描く『クレッシェンドで進め』が放つ青春のピカピカがまぶしい日々である。
そして、深夜帯では、TBS『よるおびドラマ』枠で『差出人は、誰ですか?』が放送中だ。高校の国語教師(柄本時生)がはじめた「手紙ゲーム」により、主人公の美月(幸澤沙良)はじめ、高校生たちの恋心、疑惑、生きづらさ、本音が暴露されていく。SNSの時代にあえて手紙。一話15分のドラマだ。
民放の帯ドラマは、13時台に通称「昼ドラ」としてフジテレビ系とTBS系で60年代から長く放送されていたが、2016年春に終了。テレビ朝日系で2017年、倉本聰脚本の『やすらぎの郷』で昼帯劇場が始まり、中断をはさんで2020年春に終了していた。