中国の習近平国家主席が11月中旬、インドネシア・バリ島で開かれた20カ国首脳会議(G20)で、カナダのトルドー首相に対して、両者の非公式首脳会談の内容がメディアに漏洩していたとして、「適切でない」と問いただし、説教じみた物言いをした。
これについて、ネット上では「さすがに民主主義国の指導者だ。トルドー首相の方が正しい」、「中国は秘密主義だ。国民を欺いても平気なのだ」などと、習氏に対する批判の声があがっている。
ロイター通信がカナダ政府筋の話として伝えたところでは、トルドー首相は習氏との会談で「中国のカナダ選挙への干渉について懸念を表明した」が、その詳しい内容がメディアによって報じられたという。
習氏は会談の翌日、トルドー氏を会議場で見かけると、「こんなやり方はないでしょう。相手が誠意を見せない場合は議論しても望むものは得られない」「条件を整えなさい」と語り、さも年下の人間を諭すように「説教」したと報じられた。これに対して、トルドー首相は習氏に「カナダでは自由で公開的、率直な対話を支持する」と反論した。
さらに、首相はその翌日、記者団に対して「習主席との対話で、私自身がカナダの利益を擁護した。我々の国民に対する(中国による選挙への)干渉問題のようなカナダ人の関心事を伝え、『これについて(習氏と)対話ができることが重要だ』と習氏に強調した。いくら敏感な事案を議論しても、私はカナダ国民に隠しはしない」と説明した。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が、これらのトルドー首相の発言を伝えたところ、同紙の記事のコメント欄には200以上の意見が寄せられた。そのなかには「トルドー首相はまだ先進7カ国首脳の中では最も若いが、習氏のような古参の指導者に対して言うべきことは堂々と言って頼もしい。しかも理路整然としている」、「首脳会談の内容を秘密にするように言いくるめようとする習近平主席の言い分はおかしい。中国内ではともかく、国際社会の中では通用しない。今回の件で、習氏の政治感覚が麻痺していることが良く分かった」など、トルドー首相を称賛するとの意見が多かった。