ライフ

ドヤ街・寿町に6年通うアーティスト・シャンユーが語る「76歳のヤマさん」との奇妙な友情 

ドヤ街・寿町に6年にわたって通い続けているシャンユー

ドヤ街・寿町に6年にわたって通い続けているシャンユー

 神奈川県の横浜・寿町は東京都の山谷地区、大阪の釜ヶ崎と並ぶ日本三大寄せ場のひとつに数えられる。この地に多く建つドヤ(簡易宿所)には日雇い労働者や高齢者が生活し、ボランティアによる炊き出しなどが行なわれている。若者からはやや縁遠い街にも思えるが、この街に22歳の頃から6年以上にわたって通い続けているのが音楽アーティストのxiangyu(シャンユー)だ。 

 「基本的に大体のことをすぐには信用しない」と語る彼女は、なぜこの街に惹かれたのか。その記録を著した初の著書『ときどき寿』を発表したシャンユーにこれまでの足跡と住民たちとの奇妙な繋がりを聞いた。そもそも、いかにして寿町へ足を運ぶことになったのか。 

 ボランティアの人たちへの違和感 

 「もともと路上生活をしている友人がいたこともあって、そういった人たちへの漠然とした興味があったんです。その話をした知り合いの編集者の方から寿町の炊き出しのボランティアに誘われて、軽い気持ちで『じゃあ、行きます』と参加することにしたんです。ただ、その時は寿町という街の成り立ちや住んでいる人たちについてはまったく知らず、横浜に実家があるので里帰りついでに立ち寄ってみるという感覚でした。 

  ただ、前日に明日実家に帰る前に寿町っていう所に寄ってから帰るねと母に言うと『あんた、どんな街か知っているの?』と言われてネットで検索したんです。玉石混淆な情報が溢れていて、そのなかにはちょっと怖いことが書かれているサイトもあったので内心かなりドキドキしながら街に入ることになりました」 

  いざ踏み込んだ寿町の第一印象は「作業着を着た人が多い」「自分のような若い女性が極端に少ない」場所だった。場違いだったんじゃないのか――そう自問自答しながら公園でボランティアの代表者の話を聞いていると突然ショッキングな出来事に見舞われる。 

 「いきなり、おじいさんにこづかれて、『おめぇ見ねえ顔だな。どこのどいつだ?』と聞かれたんです。初対面でこんなぶっきらぼうな絡み方してくる人は普段なかなかいないじゃないですか(笑)。それで正直、なんだこの人? と最初は思ったんですが、実はこの人こそ私がその後、寿町に通う理由になる親友のヤマさんだったんです」 

  鉄工所や造船所など土木や加工の仕事をしてきたというヤマさんは現在76歳。寿町を歩けば誰からも声をかけられる顔役のような存在だった。初対面の印象は良くなかったが、寿町に興味を抱いたシャンユーは再び街を訪れ、自らヤマさんに積極的に声をかけてみることにした。 

 「よく話してみるとヤマさんは来る者拒まずの性格で、色々と私に街のことを教えてくれるようになりました。私のほうからガンガン話しかけていくうちにドヤに来る前の生活ぶりや街の人たちの背景など深い話をしてくれるようになりました。ヤマさんとは『日の時に駅で待ち合わせしよう』と手紙のやり取りをする仲になり、自然とヤマさんとの交流=寿町に行くことになっていきました。いつもは電話やLINEを使っての連絡手段が主だったので、手紙でのやり取りというのも新鮮でした」 

  通っていくなかで、街やそこに関わる人に対する自身の感覚も変わっていく。そして段々と、当初案内してくれたボランティアの人たちへ違和感を覚えるようになっていった。

関連記事

トピックス

ウッチャンナンチャンがMCを務める番組『チャンハウス』
【スクープ】フジテレビがウンナン&出川MCのバラエティー番組で小学生発言を“ねつ造演出”疑惑 フジは「発言意図を誤解して編集」と説明、謝罪 
女性セブン
くら寿司
《ピンク色の破れたゴムを…》「くら寿司」が迷惑行為に声明「厳正な対応を行う予定」実行者は謝罪連絡入れるも…吐露していた“後悔の言葉”
NEWSポストセブン
中学時代の江口容疑者と、現場となった自宅
「ガチ恋だったのかな」女子高生死体遺棄の江口真先容疑者(21) 知人が語る“陰キャだった少年時代”「昔からゲーマー。国民的アニメのカードゲームにハマってた」【愛知・一宮市】
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認め全店閉店へ(左・時事通信フォト、右・HPより 写真は当該の店舗ではありません)
【こんなに汚かったのか…】全店閉店中の「すき家」現役クルーが証言「ネズミ混入で売上4割減」 各店舗に“緊急告知”した内容
NEWSポストセブン
動物言語学者・鈴木俊貴氏(左)と小説家の川上弘美氏が動物言語について語り合う
【対談】『僕には鳥の言葉がわかる』著者・鈴木俊貴氏と自らの小説に“鳥の言葉”を登場させた川上弘美氏が語り合う「動物言語が切り拓く未来の可能性」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
江口容疑者と自宅
《16歳女子高生の遺体を隠し…》「6人家族だけど、共働きのご両親が不在がちで…」江口真先容疑者(21)が実家クローゼットに死体を遺棄できた理由
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走“一管理職の職責を超える”心労も
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン