1990年代初頭に巨人の投手として活躍した松谷竜二郎は、1997年に引退後、建設業界に社員約150人を抱える組織の指揮を執っている。
「末次(利光、元巨人)さんの紹介で、この業界に入り、末次さんの顔に泥を塗らないようにと頑張ってきました。休眠状態だった建設会社を最初は3人で引き継いで、今日まで成長させてきました」
現役時代、怪我に泣かされただけあって、不測の事態で現場に欠員が出ないよう、社員への目配り気配りを第一に仕事に没頭してきた。
「ピッチャーは点を取られなければ負けはしない。現役時代はそう自分のことを第一に考えてました。でも、実社会はそうじゃいけない。みんなの協力があってこそ成り立つのが会社。僕もまだ成長過程であり、今後もひとつの事業だけでなく多岐にわたる挑戦をし続けていきます」
(文中敬称略)
【プロフィール】
松谷竜二郎(まつたに・りゅうじろう)/1964年生まれ、大阪府大阪市出身。大阪市立高校(現大阪府立いちりつ高校)卒業後、大阪ガス野球部を経て、1988年巨人にドラフト2位で入団。1997年に引退後は建設業界に転職。現在はスチールエンジ株式会社の代表取締役社長。
【取材・文】
松永多佳倫(まつなが・たかりん)/ノンフィクション作家。1968年、岐阜県生まれ。琉球大卒業後、出版社勤務を経て執筆活動開始。『確執と信念 スジを通した男たち』(扶桑社)など著書多数。ビジネス書籍『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』がKADOKAWAより発売中。
写真/木村圭司
※週刊ポスト2022年12月9日号