国際情報

【舛添要一氏解説】プーチンお気に入りの「偉大なるロシア」を掲げた帝政末期の政治家・ストルイピンとは何者か

帝政ロシアの内務官僚から頭角を現わした(Getty Images)

帝政ロシアの内務官僚から頭角を現した(Getty Images)

 ウクライナを侵攻中のロシアを率いるプーチン大統領。その強権的な政治手法により、ソ連の独裁者・スターリンとの類似性がしばしば指摘されている。国際政治学者の舛添要一氏によると、プーチンが手本とするロシアの政治家はスターリンだけではないという。

「プーチン大統領は、ピョートル・ストルイピンを偉大な政治家として高く評価しています。危機の時代に偉大なロシアを発展させた指導者としてストルイピンを位置づけ、1990年代の危機からロシアを救った自分とオーバーラップさせるのです」(舛添氏)

 ストルイピンが台頭したのは、革命前夜、反体制運動がロシア全土に拡大し、社会不安が増大した時期だった。1905年10月、ロシア皇帝ニコライ2世は帝政の存続をかけ、国会開設を約束する「10月詔書」を公布。翌年4月には国会(ドゥーマ)が開設された。舛添氏は最新刊『スターリンの正体 ヒトラーより残虐な男』のなかで、この時期に帝政ロシアの首相となったストルイピンについてこう述べている。

〈日露戦争講和で活躍したヴィッテが1905年11月に首相になり、憲法制定にも力を注ぎますが、翌年の6月に辞任し、内務官僚のゴレムイキンが後継首相となりますが、短命に終わります。その後、7月にストルイピンが首相に就任します。

 ストルイピンは、まずは強権的な弾圧によって反体制運動を抑え、次いで国民の不満を解消させるために、言論や集会などの自由拡大、ゼムストヴォ(徴税権も持つ地方自治機関。今の日本の都道府県議会のようなもの)の権限拡大、行政改革など広範囲に改革の網を広げていきます。また、教育制度も拡充し、識字率も急激に上がります〉(舛添要一『スターリンの正体』)

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン