中国では11月下旬、北京や上海、広州など全国の主要都市50カ所以上で「ゼロコロナ」政策に反対する抗議デモが発生した。中国に駐在する北朝鮮の貿易関係者らからは「このような公然と政府に反対するデモは祖国(北朝鮮)では決して許されないことだ。同じ社会主義国でありながら、中国の人々が抗議デモに参加していることをみると、どこか羨ましく感じる」との声が上がっているという。
一方、他の北朝鮮関係者は「北朝鮮の首都・平壌や新義州などの大都市で同じような抗議活動があったらと思うと、背筋が寒くなる」とも述べた。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
ある北朝鮮関係者は出張で上海を訪れた際、民衆のデモに遭遇した。人々が街中の通りを埋め尽くし、「共産党は退陣せよ」というスローガンを掲げていた光景を目の当たりにし、もしも平壌でコロナウイルス封鎖政策に反対するデモがあったら、抗議者とその家族はすぐに処刑されるだろうと感じたという。
また、「中国では大学生でも政府に反対するデモが許される。デモが拡大しても、抗議する人々が処刑されたという話は聞かない。中国も社会主義国であり、独裁国家であるが、政府の政策に抗議した人がすぐに処刑されないのを見て、いろいろと考えさせられた」とで語ったという。
これらの北朝鮮の貿易関係者はRFAの取材に応じているが、「もし、私があなた方に、こうしたことを話したことが分かれば、私はすぐに本国に呼び戻されて、処刑されてしまうかもしれない。しかし、中国ではそういうことはない。中国はわれわれの祖国と同じ社会主義と言っても、その自由度は全く違う。ゼロコロナ政策に対する、こうした抗議活動が中国全土の主要都市で起こったことを祖国(北朝鮮)の人々が知れば、自分たちの状況に対する考え方に大きな影響を与えるだろう」と指摘している。