悲しみを感じさせまいと気丈に振る舞った涙なき姿が、人々の胸を打った。12月5日、11月28日に敗血症で亡くなった渡辺徹さん(享年61)の妻・榊原郁恵(63才)と長男の裕太(33才)が会見を開いた。
「渡辺さんは11月19日に発熱し、翌日には腹痛もあったため郁恵さんに付き添われて病院を訪れたそうです。病院到着時には歩いて病院に入ることができたようですが、その日のうちに意識を失ったということでした。
その後ICU(集中治療室)に入って治療を続けるも回復することはなく、28日に息を引き取った。渡辺さんが車を降りるときにかけた“お父さん、降りて”という言葉が、夫婦の最後の会話になってしまったそうです」(芸能リポーター)
渡辺さんは発熱した日も仕事をこなし、12月以降の仕事も決まっていた。誰もが想像していない、あまりに急すぎる別れだった。だが、渡辺さんの知人からは、この春以降の体調変化を指摘する声も聞こえてくる。
「2月にコロナ感染を発表したとき、ひどくショックを受けていました。あれだけ対策をしていたのに。しかも後遺症もあったようで、感染後、調子が悪い日が続いていましたから」
渡辺さんは人一倍コロナを警戒していた。それは複数の持病を抱えていたことが関係している。
渡辺さんは1991年に30才の若さで急性糖尿病を発症。2012年には虚血性心疾患で6時間もの大手術を受けた。翌2013年にはすい炎で入院。2016年からは糖尿病により腎機能が低下して、週3回の人工透析を受けていた。2021年にも大動脈弁狭窄の手術を受けている。
しかし、死因はこうした持病ではなく、敗血症だった。所属事務所の発表によれば、発熱と腹痛があり都内の病院を受診したところ、細菌性胃腸炎と診断され入院。その後、敗血症と診断されて治療を受けていた。血液内科医の中村幸嗣さんが解説する。
「細菌性胃腸炎は、健康なかたであれば治療などにより簡単に治ることがほとんどです。ですが状態が進展すると、細菌や毒素が胃や腸管にとどまらず、血液を介して全身に回り始めます。体内では免疫を介しての防御反応で病態を改善しようとするのですが、この防御反応がコントロールできなくなることがある。そうすると心臓や肺、肝臓などの臓器が障害を受けて臓器機能障害が起きます。この状態が敗血症です」
敗血症は1才未満の乳幼児や免疫が低下している高齢者、糖尿病患者はリスクが高いとされている。前述のように渡辺さんは糖尿病を患っていたが、それ以上に深刻な問題があった。