本日10日夜放送の民放のゴールデン特番が業界関係者の注目を集めている。各局とも異なジャンルだが、それぞれの番組が「真価が問われている」という。いったいどういうことか――コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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10日のゴールデンタイムに民放各局で放送される4つの特番に「偶然」かつ「シビア」な共通点が見られます。そのジャンルは、お笑い、スポーツ、アニメ、グルメと4者4様。しかし、それぞれが異なる理由で真価や放送意義を問われているのです
まず日本テレビは、『女芸人No.1決定戦 THE W 2022』を放送。こちらは2017年から毎年12月に放送されている女性芸人限定のお笑い賞レースですが、毎年さまざまな課題が指摘されてきました。
同じ12月放送の『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系)や、秋放送の『キングオブコント』(TBS系)と比べたレベルの問題、審査方法や基準への疑問、ジワジワと下がっていく視聴率。さらに「そもそもジェンダー平等が叫ばれる時代に“女芸人”だけの賞レース自体がおかしい」という毎年恒例の批判を覆すためには、視聴率と支持の声を得るしかありません。
昨年が盛り上がりに欠けたことも影響してか、今年は放送曜日が12月第2週の月曜から休日の土曜に変更されました。これは視聴率と支持を得るための策であり、言い訳の効かない時間帯であることから、「これでダメなら……」という正念場なのです。
フィギュアと超一流料理人企画の危機
次にテレビ朝日は、『フィギュアグランプリファイナル2022』を放送。シーズンのトップを決める三大大会の1つであり、男子は宇野昌磨選手ら4人、女子は坂本花織選手ら3人、さらにペアで三浦璃来選手&木原龍一選手が出場します。
しかし、もともと冬季オリンピック直後のシーズンは話題が乏しい上に、ロシア勢の不在と羽生結弦さんの引退で、かつてのような盛り上がりがありません。有力選手の欠場や引退によって大会のレベルが下がっていると言われること、『グランプリファイナル』はコロナ禍で2年間中止だったこと、2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪まで4年もあることなどから、テレビ中継の視聴率が下がっているだけでなく、フィギュアスケートの人気そのものが業界内で危惧されています。
今回は「日本勢が初の3種目制覇に挑む」などのトピックを前面に出していますが、それでどれだけ視聴率を得られるのか。オリンピックの花形競技だけにテレビ中継が消滅することは考えづらいものの、その扱いを左右しそうな岐路に立たされています。
TBSは『ジョブチューン』の2時間SPを放送。前回の放送でロイヤルホストのパンケーキをめぐって猛烈な批判を受けた「超一流料理人ジャッジ企画」が予定されています。
同企画はこの約5年間、ネット上に否定的な声があがり続けている上に、今年1月にもコンビニのおにぎりをめぐって批判を浴びていました。さらに今回の対象は飲食チェーンではなく、レトルト調味料の味の素「Cook Do」シリーズ。完成した料理ではない上に、より視聴者に近い商品だけに、超一流料理人たちのジャッジやコメントに批判が飛び交うリスクは高く、今後の放送を左右しそうなムードが漂っています。