中国外務省は英ロンドンの中国大使館が手狭になったため、ロンドン東部のタワーハムレッツ区への移転を求めていたが、移転先となる同区の区議会が12月初めに中国大使館の建設申請を全会一致で否決していたことが分かった。
英国の駐マンチェスター中国総領事館では今年10月、習近平国家主席の政策に反対する抗議活動への参加者が敷地内に引きずり込まれ、暴行を受ける事件が発生。クレバリー英外相が中国側に抗議声明を出すなど国際問題となっていた。新しい大使館で同じような事件が起きれば、住民の安全が保障されないなどの理由から、区議会は申請を否決したという。BBCが報じた。
タワーハムレッツ地区はシティ・オブ・ロンドン(ロンドン市)の東隣に位置し、南側の区界にはテムズ川が流れ、区内にはタワーブリッジや世界遺産のロンドン塔もあるなど、歴史的な建造物が多数存在する。
中国側が新たな大使館を建設したいとする場所は1300年代に建てられた王立造幣局の旧本館があり、この一帯を再開発し巨大なビルを建てることを希望していた。この計画が実現すれば、新しい大使館は各国大使館の中でも英国最大の規模となるはずだった。
区議会では、建設予定地が歴史的に重要な文化財であり保存すべきとの議論も出ていた。
また、住民からは議会に対して、この場所がテロの標的になったり、中国に対する抗議活動の場所になったりすることを恐れているとの声が届けられていたという。