香港政府の発表によると、今年6月1日現在、香港に拠点を置く海外企業は8978社と前年比で71社減となった。これは2018年以降で最大の落ち込みで、雇用面でも2018年に比べると約25000人も減っていたことが分かった。
一方、香港に進出した中国企業は前年同期比34社の増加で、中国企業全体では2114社となり、4年間で523社も増加しており、香港経済に占める中国企業の比重が高まっている。香港の国際性は後退しているようだ。
香港から撤退している海外企業の国籍の大部分は米国や英国などの欧米諸国で、例えば米国の場合、今年は前年比9社減で、2018年からこれまでの4年間に計93社が香港から撤退している。
業種別では、輸出入貿易、卸売・小売業が4170社を占め、金融・銀行、専門・ビジネス・教育サービスがそれに続くが、香港に拠点を置く企業数は3業種とも前年比で2桁の減少となっている。
香港政府は香港進出企業に対して、今後3年間の香港での事業計画について調査したところ、「事業を拡大する」と回答した企業は2018年は21%だったが、今年は13%で過去4年間で最低の割合だった。また、今年調査した企業の3%が「香港での事業を徐々に終了または移転させる」と回答した。
これについて、報告書では香港の著名な経済学者、香港中文大学商学院アジア太平洋ビジネス経済研究所の李肇波名誉教授のコメントを掲載している。
「このデータが反映する状況は満足できるものではない。 過去3年間の香港の厳しい新型コロナ対策が外国資本の一時的または永久的な撤退の主因であり、香港経済にマイナスの影響を及ぼしたのは明白だ。
香港経済はますます中国経済の影響を受けることになり、特に経済が減速している時には不利に働き、香港の長期的な経済発展にとっては極めて望ましくない」
国際社会で独自の地位を築いてきた香港だが、その特徴は後退しているようだ。