「母親は事件後、マスコミの取材を避けるためにホテルに滞在していましたが、周囲に『(薬物を摂取しないと)やってられへん』と薬物を所持していたそうです。事件前から薬物に手を染めて、もう彼女は育児ができる状況ではなかったのです……」
NEWSポストセブンの取材にそう語ったのは亡くなったMちゃんの母親(42)の知人だ。
事件は2021年8月に大津市内で起きた。「ジャングルジムから妹が転落した」と通報した長男(当時17歳)が妹(当時6歳)を殺害したとして、傷害致死容疑で逮捕。その後、自宅で覚醒剤や大麻などの違法薬物を所持したとして兄妹の母親が滋賀県警に逮捕された。
この母親は無罪を主張していたが12月12日、大津地裁は懲役2年4カ月(求刑懲役3年)の実刑判決言い渡した。全国紙社会部記者が語る。
「昨年8月1日の午前9時頃、妹の兄が公園近くの住人に『妹がジャングルジムから転落した』と、助けを求めて救急搬送されましたが、外傷性ショックで死亡が確認されました。8月4日、滋賀県警は兄が自宅で妹の腹や背中、顔を殴る蹴るなどの暴行を繰り返して死亡させたとして傷害致死容疑で逮捕しました。捜査関係者によると、妹の遺体には100カ所以上の皮下出血や右副腎破裂がみられ、複数の肋骨が骨折していたそうです」
事件数日前の7月中旬、自宅近くのコンビニでは、深夜に幼いMちゃんを連れだして徘徊する長男ら二人の姿が目撃されていた。
「母親と妹、長男が同じ家で暮らし始めたのは、2021年の4月からでした。それまで母親は経済的な問題で児童相談所から育児困難と判断され、子どもたちは別々の児童養護施設に預けられていました。
子どもと暮らすという母親の念願が叶い、事件前の6月には母親と長男、妹の3人でカラオケに行き、長男がサプライズで母親に感謝の言葉を綴った歌を贈っていました。 “ありがとう 明日も明後日も大好きなお母さん”という息子の歌声に母親も感動して涙したそうです」(同前)
長男は8年ぶり、妹は5年ぶりの母親との同居だった。だが、本来の“親子の時間”を取り戻すには、長すぎた年月だったのかもしれない。頻繁に外泊する母親に代わり、長男を待ち受けていたのは、妹の世話だった。
「事件の1週間ほど前から母親は外泊していて、数千円だけを長男に渡して妹の世話をさせていたそうです。妹は大阪府内、兄は京都府内の養護施設に預けられた、異父兄妹でした。長男は取り調べに、『妹の世話が辛かった』『泣き止まず、髪の毛を引っ張ったり、叩いたり踏みつけたりした』と供述。長男は母親によるネグレクト(育児放棄)状態にあったとして、第1種少年院送致の保護処分となりました」(同前)