今年1年にわたって話題をさらい続けたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が12月18日に最終回を迎える。序盤で俄然注目を浴びたのが、仁田忠常を演じたお笑いコンビ・ティモンディの高岸宏行さん(30)だ。源平合戦で各地を転戦して武功をあげた仁田忠常は北条家を支える伊豆の武士だが、北条と敵対することになる比企家との争いの中で、自らの運命を引き裂かれることになる。そんな難しい役どころを演じた高岸宏行さんに、演技初挑戦となった同作に対する思いを聞いた。
「出演のオファーは事務所で聞かされたのですが、はじめは『大河』の漢字は思い浮かびませんでした。タイガ? マネージャーさんのお友達の名前かな? というくらいで、まさか大河ドラマではないだろうと。だって今までお芝居の経験すらないので、NHKの大河ドラマは全く、想像の範囲外でした」
脚本の三谷幸喜氏は演じる役者を想定して書く“当て書き”で知られる。高岸さんについても、台本を書く段階から仁田忠常は高岸宏行さんに、との想定があったようだ。
「スタッフさんから、ご指名があったというお話はうかがっています。でもお芝居もやったことがない僕にお声をかけてくださったということはつまり、高岸宏行という人間をそのままぶつけていくしかないと、三谷さんもそこを望んでいらっしゃるのかな、とは感じていました。
演じることに関して、テクニックや知識はもちろんないので、僕としては仁田忠常という人物を応援しようと、また『鎌倉殿の13人』という作品を応援して、さらに見てくれている視聴者の皆さんを応援しよう。そんな気持ちだけを持って参加したという感じです。
現場のスタッフの皆さんもすごく優しくて、多分緊張しているだろうからと気を使ってくださったのか、初日から気さくに声をかけてくださって、その心遣いには本当に感謝しています。
ただ実は僕、あまり緊張していなかったんですよね。というか、緊張する暇もなかった。なんにもわからない世界に飛び込んで、でも自分のやることは仁田忠常を一生懸命応援し、演じるということだけです。そこしか考えていなかったので緊張を感じる暇もありませんでした。
『うまくやろう』とか『いい演技をしてやろう』とか、『この仕事を通じて次につなげてやろう』みたいな下心があったら、もしかしたら緊張したのかもしれないけど、そんなことすら考える余裕がなかったんですよね」