発声に関わるのどの筋肉「声筋」は、30代から老化が始まる。のどは肺へ空気を送る気管と、胃へ食べ物を送る食道の入口だ。声筋が弱り声帯が委縮すると、息苦しさや誤嚥、肺炎のリスクが高まる。音声外科や音声リハビリを専門とする医師、渡邊雄介氏によると、声筋は転倒をも招くという。
「重い荷物を持ち上げるときなど、人は一時的に息を止め、全身に力を入れます。しかし声帯を閉じる力が弱いと、息が漏れて踏ん張れません。転倒防止のためにも、カラオケなどで声筋は鍛えるべきです」
カラオケは十八番を繰り返し歌うのが吉
声筋を鍛えるトレーニングにピッタリなのが、高音と低音をバランスよく取り混ぜて声を出すカラオケである。長引くコロナ禍で人と会話をする時間が減少した昨今、カラオケを生活に取り入れたい。
「上手に練習すれば肺活量が上がり、呼吸がラクになる効果もあります。ストレス解消にもなるので、楽しく続けましょう」(渡邊氏)
張りのある若々しい声を取り戻すだけでなく、ものを飲み込む力、息を止めて踏ん張る力を保持しよう。
ただし、馴染みのない歌は歌詞を見る作業に集中し、発声がおろそかになりがちなので、歌詞を覚えている歌を選ぶほうが好ましい。また、同じ歌を繰り返し歌っていくうち、「以前と比べて高音がよく出ている」など自身の声質や体調の変化に気づきやすいのも十八番の利点である。
カラオケで主に鍛えられるのは、のどの内側に当たる筋肉だ
歌を歌うと、のどの筋力や柔軟性の向上が期待できる。地声のほか、口を閉じたまま音を鼻から出すハミング、裏声と変化をつけて歌い、満遍なく声筋を使用したい。ただし歌い過ぎは逆効果なので、疲れたら休憩しよう。