12月15日深夜、翌16日からの上演を予定していた舞台『家を壊す -他、短編-』の公演中止が急きょ発表された。舞台公式サイトでは、〈作・演出の谷賢一氏に対して告訴ならびにハラスメント行為の告発〉があったと説明されている。
谷氏の主宰劇団DULL-COLORED POPに所属する女優の大内彩加さんは、〈谷賢一を提訴いたしました〉とSNSで報告している。〈私は2018年6月から谷に「日常的に胸やお尻を触る」「卑猥な言葉をかけられる」「卑猥な内容のLINEが送られてくる」等の性加害を2021年3月まで受け続けました〉と告発し、適応障害・うつ病を患って精神科に通院していることを明かした。
大内さんの告発を受けて、劇団「青年団」を主宰する劇作家で演出家の平田オリザ氏(60)は、同劇団に所属していた谷氏に退団措置を取ることを決定した。〈詳細は今後、司法の場で明らかになっていくかと思いますが、他の関係者の証言もあることから大筋の告発は事実であったと思われます〉としている。
40歳の谷氏は、福島県生まれの劇作家、演出家、翻訳家。福島における原発問題を描いた大作『福島三部作』は1万人以上を動員し、第23回鶴屋南北戯曲賞および第64回岸田國士戯曲賞をダブル受賞した。今年10月からは、福島第1原発事故の被災地で唯一、全町避難が続いていた双葉町に移住。演劇を通じた町づくりと復興・再生に取り組み、『家を壊す -他、短編-』も「谷賢一福島滞在製作公演」と銘打たれていた。
谷氏の言動が問題になったのは、今回が初めてではない。昨年2月に講師を務めた演劇ワークショップでもトラブルが発生していた。
「ワークショップの運営元である日本劇作家協会が〈講師が受講者に対して高圧的な態度で接し、受講者の尊厳を傷つける場面がありました〉と謝罪し、同じく谷氏もメッセージを掲出しました。
彼いわく、受講者の福島に関する発言に違和感を覚え、それを指摘したことで口論めいた空気になってしまったそうです。反論した内容自体を撤回するつもりはないとしつつ、〈論戦の中で確かに言葉は強くなっていました〉や〈その表現の仕方が人を傷つけたことは間違いなく私の過失〉と謝罪しました」(演劇ライター)
危うい谷氏の言動
谷氏はどんな人物だったのか。彼を知る演劇関係者が語る。