いわゆる「ゼロコロナ政策」の大幅緩和に踏み切った中国で、新型コロナウイルスの感染急拡大の懸念が広がるとともに、真偽不明の情報が流れている。そんななか、“桃の缶詰”が症状を和らげるとの噂が広がり、売り切れになる現象が発生。中国共産党機関紙「人民日報」は「桃缶は症状を緩和しない」との専門家のコメントを伝えるなど、「桃缶による症状緩和説はネット上のデマだ」と警報を鳴らしている。
中国では12月初旬に、これまで3年間続けてきた「ゼロコロナ政策」が突然緩和。患者が集中している地区以外での移動制限も緩和された。人々が自由に移動することができるようになったことを受け、人民日報は専門家の話として「これから1か月以内に感染のピークが来るとの予想が出ている。中国がこれまで経験したことのない感染急拡大が進み、医療体制がひっ迫するのではとの懸念も高まっている」などと報じている。
このような中、黄桃の缶詰が新型コロナウイルスに効くとの噂がSNS上で出回り、売り場の棚から黄桃の缶詰が消えるという現象が起きているという。同紙は専門家のコメントとして「黄桃にはビタミンC、ビタミンB、ベータカロテン、リコピンなどが含まれており、新陳代謝を促進し、免疫力を高める効果がある」と黄桃の効用を紹介している。
その一方で、同紙は「果物は薬の代わりにはならない。新型コロナウイルスに感染したと診断されたなら、薬を使って治療しなければならない。できるだけ早く病院に行き、医師の指示に従って科学的根拠のある治療を受けることが必要だ」と注意を呼び掛けている。
医療体制が脆弱といわれる中国では、早くも解熱鎮痛剤などが品薄になっており、この桃缶騒動は、感染腔拡大への庶民の懸念を象徴していると言えそうだ。