増税まっしぐらの岸田文雄・首相に、自民党内では反対論が噴出。12月15日の自民党税制調査会では、執行部より妥協案が提示され、ひとまず具体的な増税時期を決定せず、事実上の先送りという形で、議論は決着した。
反対派の中で、特に存在感を発揮したのが、高市早苗・経済安全保障担当相だった。
「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できません」
高市氏は増税方針を協議した政府与党連絡会議に呼ばれなかったことをツイッターで暴露してそう批判すると、記者会見で「罷免をされるということであれば、それはそれで仕方がないという思いで申し上げております」と言ってのけた。
岸田派議員からは「高市を粛清すべき」の声があがった。
「そこまで言われたら、総理は高市罷免を決断してケジメをつけさせるべきだ。そうしなければ政権の求心力をいっぺんに失う危険がある」(同前)
だが、“高市の乱”はこれから起こる大乱の序章だった。高市氏の発言を機に、閣内からも、自民党内でも、首相批判の声が広がっているからだ。
飛び出した倒閣発言
閣僚では自民党最大派閥・安倍派の後継者候補の1人、西村康稔・経産相も記者会見で、「このタイミングでの増税は慎重になるべきだと申し上げている」と批判。西村氏は2021年の自民党総裁選で高市氏の推薦人代表を務め、高市氏とはいわば“盟友関係”にある。
大物閣僚2人が増税反対を旗幟鮮明にすると、安倍派を中心に自民党内で増税批判が噴き出した。
もう1人の安倍派後継者候補である世耕弘成・参院幹事長は「雰囲気として『法人税ならいい』という感じだがおかしい」と自民党の会合で息巻いた。
増税反対派議員が開いた会合(12月13日)では、「内閣不信任案に値する」という不穏な“倒閣発言”まで飛び出した。会合に参加した議員が語る。
「岸田総理は党内議論をしないまま独断で防衛増税を言い出した。そのやり方は内閣不信任に相当するというのは会合に参加した議員共通の認識です。もうこの政権を支えることはできない」