芸能

高田文夫氏の「惜別2022」 西村賢太さん、上島竜兵さんら大衆文化に尽力した人たち

高田文夫氏が別れを惜しむ(イラスト/佐野文二郎)

高田文夫氏が別れを惜しむ(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、高田氏が2022年に見送った人々についてつづる。

 * * *
 惜別2022である。今年も大衆文化に携わる人々が亡くなった。記しておかなければ忘れてしまう程の多くの方が。

〈文学〉89歳で石原慎太郎が亡くなると後を追うようにしてその週に西村賢太死去。賢太は小さい頃から『ビートたけしのオールナイトニッポン』を聞きまくり、たけし&高田をずっと神だと思っていた。何回も飲みに行き貧乏な青春時代をきかされた。

〈漫画〉水島新司、藤子不二雄A。漫画誌にとっての2大エースである。

〈スポーツ〉新年早々ストロング小林が亡くなったと思ったらとうとう“燃える闘魂”アントニオ猪木に10カウント。「元気ですかーーッ?」元気ではなかった。村田兆治の死もショックなものだった。“まさかり投法”が“まさかの投法”になってしまった。

〈歌謡曲〉西郷輝彦を筆頭にたくさんの歌手がステージを去った。『星のフラメンコ』を「腰のフラメンコ」と歌ったのを想い出す。葛城ユキ。『ボヘミアン』を「おてもやーーん」と歌ったのを想い出す。ムード歌謡、天下の二枚目、和田弘とマヒナスターズの松平直樹、逝く。談志と松平が仲が良かったのでよく一緒に飲ませてもらった。「今は“暇なスターズ”でしょ?」と言うと「それを言うな」と叱られた。たけしがバイク事故の後、復帰会見でいきなり「どーも、顔面マヒナスターズです」と言った。私しか笑っていなかった。他にも横浜銀蠅の嵐、新川二朗(東京の灯よいつまでも)、佐々木新一(あの娘たずねて)、山本コウタロー、水木一郎など。

〈映画監督〉大森一樹、崔洋一(月はどっちに出ている)。

〈俳優〉古谷一行、島田陽子、渡辺徹、志垣太郎、佐藤蛾次郎。

〈笑芸〉たくさん笑わせてくれて死んでしまった。私とかかわりの強かった人達である。ダチョウ倶楽部上島竜兵「きいてないよォ~ッ」「クルリンパ」。小林のり一。私が大好きで最も尊敬する喜劇人・三木のり平の息子である。飲んではよくお父さんの話をしたっけ。典型的な若旦那気質。何をやっても長くは続かず、舞台をやったり漫画を描いたり俳句を作ったり自由な男だった。白木みのるの訃報も。なんたって『てなもんや三度笠』の珍念。相棒は藤田まこと。最強のコンビだった。仲本工事。テレビ界永遠の大横綱“ザ・ドリフターズ”のギターと体操担当である。三遊亭円楽。トリは勿論この男。私とは学生時代からの仲間で1学年年下。若くして『笑点』のレギュラーとなり、落語という芸を全国に広める為尽力。永遠の落語青年。その生き方にザブトン100枚! 合掌、また来年。

※週刊ポスト2023年1月1・6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン