芸能

追悼・島田陽子さん、遺作の監督が振り返る「美しく映ることへのこだわり強かった」

藤岡弘、が島田陽子さんへ別れの言葉

横山監督「女優としての生きざまが映画に表れていました」

 アメリカのテレビドラマ『将軍 SHOGUN』(1980年)のヒロインを演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞に輝き、「国際女優」と呼ばれた島田陽子さんは2022年7月25日、大腸がんによる多臓器不全で亡くなった。69才だった。

 遺作となった主演映画『エヴァーガーデン』をともに作り上げた、監督・横山浩之さん(62才)は、当時をこう振り返る。

「ひょんなことから友人に誘われて行った箱根の旅館で、島田さんと一緒に2020年の正月を迎えました。その際に映画や芝居の話に花が咲き、私が『若手を起用した映画を製作しようと思っている』と言うと、『私も一緒にできない?』と島田さんが申し出てくれ、映画を作ることになったんです」(横山さん・以下同)

 話を進める中で、島田さんを主人公にしたコロナ禍の社会情勢を取り入れた作品にしたいと思うようになった。だが、この頃すでに島田さんの体調は悪化していたため、主人公があまり動かなくてもいい内容に変えたという。

「島田さんの希望で、相手役は榎木孝明さん(66才)に決まりました。どこかで最後の映画になるかもしれないという思いもあったのか、“女優・島田陽子の隣には、俳優・榎木孝明にいてほしい”という思いが強かったのです」

 彼女のイメージ通り、2人で湖畔を歩く姿はとても美しく、印象的なシーンになった。湖畔での撮影は1日平均6時間。歩く途中で休憩を求めることもあり、それ以上の撮影は難しい状況だったが、女優としてのプロ意識が高く、鬼気迫るものがあったという。

「ロングスカートの衣装がほとんどでしたが、よく似たものをスタッフが用意しても『違う』と納得せず、自分で用意したものを着ていました。自分が美しく映ることに関してのこだわりはとても強かったですね」

 下血が続いているのを隠して撮影を続け、衣装に血がべっとりついていたこともあったが、一切妥協せず、湖に入るシーンでは、腰まで水に浸かる力の入れようだったという。

「演出では、湖にくるぶしくらいまで浸かれば充分でしたが、『このシーンはもっと奥まで入っていかないと』と自ら申し出てくれたんです。撮影は夏でしたが、健康な人でも体力的にきつい場面。具合も相当悪かったのに、頑張ってくれました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
金メダル級の演技(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』で“韋駄天おのぶ”を演じる今田美桜の俊足秘話 「元陸上部で中学校の運動会ではリレーの選手に」、ヒロイン選考オーディションでは「走りのテスト」も
週刊ポスト
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン