1年を健やかに過ごすために重要になるのが「健康」だ。歳を重ねていくと、身体の様々な部位の不調や痛みに悩まされるようになる。健康を維持し、大病につながるサインを見逃さないための秘訣を詳細に見ていく。
身体にちょっとした異変を感じた時に、「気のせいかな」と放っておくのは危険だ。それが、実は重病を知らせるサインの可能性がある。『放っておくとこわい症状大全』の著者・秋津壽男医師(秋津医院院長)が語る。
「生活習慣病の治療で通院されている患者さんが、ちょっとした不調をきっかけに血管系の病気の前兆に気付いたという事例を、これまでに何度も見てきました。
つい、気付かぬふりをしてしまいがちですが、私のクリニックでは『朝起きたら、一瞬苦しくなった』など少しでも変化があれば報告してもらい、心臓のエコーやCTなどの検査を受けてもらうようにしています」
重病のサインの可能性がある症状にはどんなものがあるのか。まずは日本人の死因第1位である「がん」。一口にがんと言っても、部位ごとにサインの現われる場所も変化も異なるという。
「たとえば同じ肩に起きる異変でも、左肩の痛みならすい臓がん、右肩の痛みなら肝臓がんのサインである可能性があります。肩甲骨を動かした時に肺の辺りが痛むなら、肺がんのサインかもしれない。そのように初期症状は直接その部位に現われるとは限りません。
便潜血を生じる大腸がんも初期症状はあまり出ない。もともと痔持ちの人は『痔のせいだ』と思って見過ごすことがあります。3年に1回は大腸内視鏡検査をするなど、意識を高めてください」(同前)
感染症などで喉を痛めやすい季節ゆえに見落としやすいサインもある。
「声のかすれや喉に違和感がある時は、風邪などの症状ではなく、喉頭がん、咽頭がん、肺がん、食道がんの兆候である可能性があります。2週間以上、咳や痰が止まらない時は肺がんが疑われることもある。『どうせ風邪だから』などと軽く考えず、医師に相談してください」(同前)
食べ過ぎや飲み過ぎなど思い当たる節がないのに食欲不振に陥ったり、お腹が張るなどの症状が出た場合も要注意だ。
「食欲不振は胃がん、すい臓がん、肝臓がんのサインである場合があります。食べ過ぎでもないのにお腹が張る時は、大腸がんを警戒したほうがいい」(同前)