健康的な生活の基礎となるのが食べ物だ。食生活を見直す意味は大きい。あきはばら駅クリニック院長の大和田潔医師が言う。
「歳を重ねると老化した細胞が体内に残りやすくなり、有害な物質を分泌して慢性炎症を引き起こすことがあります。肥満による過剰な脂肪細胞の蓄積も慢性的な炎症を起こし、老化を加速します」
風邪を引いた時に熱が出るといった一過性の反応ではなく、ダラダラと体内で炎症状態が続くと、がんや心疾患、認知症のリスクが増すことが近年わかってきた。
そうした慢性炎症を抑える一助となるのが、「抗炎症」作用を持つ食材だ。満尾クリニック院長の満尾正医師が解説する。
「炎症を抑える代表的な栄養素は不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸です。青魚に含まれるEPAやDHAといった油に多く含まれ、心筋梗塞などの心疾患を予防します」
イワシ、アジ、サンマといった青魚やサケ、アマニ油、えごま油に多く含まれるオメガ3脂肪酸は、血管の炎症を抑えて細胞膜を再生するため動脈硬化にもいい。
「反対にサラダ油などに含まれるオメガ6脂肪酸は炎症を促進するので、摂りすぎには注意しましょう」(満尾氏)
それらに加えて、「細胞の代謝を促す食べ物も積極的に摂りたい」と指摘するのは、管理栄養士の望月理恵子氏。
「細胞を再生させて体を若く維持するには、赤ワインや色の濃い野菜や果物に含まれるポリフェノール、緑黄色野菜などに含まれるビタミンCが重要です。また、歳を重ねると体内の消化酵素が減り、腸内環境が悪化しがちです。ヨーグルトや納豆などの発酵食品、食物繊維が多い海藻やキノコ類は腸内環境を整え、細胞の代謝を促進します」
老化対策には、タンパク質も欠かせない。
「魚介類や鶏肉、豆腐、海苔などに加えて、日本ならではの海洋食材であるホヤやナマコも注目の食材です。特にホヤは脳機能を守る栄養素プラズマローゲンが豊富です」(前出・大和田氏)