お金や健康にまつわる悩みは尽きないが、そうした中高年世代の関心事への指針となるのが、続々大増刷のムック『週刊ポストGOLD』シリーズだ。
2022年4月には年金制度の大改正があった。どう対応していくのがよいのかを詳細に解説したのが『新 得する年金』だ。
年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏が登場し、〈「働きながら年金受給」損得ルールが激変! 「在職老齢年金制度」大改正の10のポイントが丸わかり!〉の特集では、改正後の新常識を一問一答形式で解説。2021年4月施行の70歳就業法(改正高年齢者雇用安定法)とあわせての素朴な疑問に答える12問12答の〈年金博士が教える 70歳まで働く時代の悩み完全Q&A〉も掲載している。
これまで、60代前半で働きながら年金を受け取る場合、「年金(厚生年金の報酬比例部分)+給料」が月額28万円を超えると超過分の半額にあたる年金が支給停止となっていた。年金が10万円の人であれば、月給38万円以上稼ぐと年金がゼロにされてしまうという“働く意欲を削ぐ制度”だった。それが2022年4月以降は年金と給料の合計が月額47万円まで年金がカットされない制度へと大幅に緩和された。
ルール改正前は年金カットを避けて働く量をセーブする60代前半の人が少なくなかったが、制度変更により、むしろ稼げるうちにしっかり稼ぐことが有力な選択肢となったわけだ。もちろん、背景には年金財政の逼迫があり、“老後資産は自分で働いて蓄えてくれ”という政府の意図が透けて見えるが、だからこそ一人ひとりが年金を何歳から受け取り、何歳までどのようなかたちで働くのがいいかを考えなくてはいけない時代となる。その指針となる情報が、『新 得する年金』では網羅されている。
合法的に税がかからない
相続・贈与を巡っては2023年以降に制度の大きな変更が控えている。その見通しなどをプロが解説した1冊が『相続の大改正』だ。
同書では〈失敗しない相続 新しい155の秘訣〉などの特集で、損をせずにトラブルを避ける術を指南している。相続専門YouTuberとして累計再生回数1000万回に迫る円満相続税理士法人代表の税理士・橘慶太氏が「合法的に贈与税と相続税がかからない方法」を解説するなど、基礎控除の縮小などにより“身近な税金”となった相続税についてどう考えるべきかが網羅されている。
とりわけ多くの人に影響が及びそうなのが、2024年4月以降の「相続登記」の義務化だ。不動産を相続した際に、登記を書き換えずに故人の名義のままとなっている土地・建物が国内には多く存在するとされる。これまでは罰則がなかったために放置されていたわけだが、2024年4月以降は3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料が科されることになる。「名義変更」は相続の手続きでも鬼門となるため、あらかじめポイントを理解しておくことが大切だ。