スポーツ

大阪桐蔭・西谷浩一監督が口にした「集めすぎの批判? 全く気にしていません」の真意

高校球界で「一強」となっている大阪桐蔭を率いる西谷監督(撮影・藤岡雅樹)

高校球界で「一強」となっている大阪桐蔭を率いる西谷監督(撮影・藤岡雅樹、以下同)

 春4度、夏5度の全国制覇を成し遂げ、現代の高校野球に“常勝軍団”として君臨する大阪桐蔭高校。圧倒的な強さを誇る同校を褒め称える声がある一方で、「選手を集めすぎ」といった批判もある。西谷浩一監督は、そうした声をどう受け止めているのか。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 2022年の高校野球も、中心にいたのは大阪桐蔭だった。春のセンバツでは前年の明治神宮大会に続く2冠を達成した。史上初となる3度目の春夏連覇――そもそも、春夏連覇を二度達成しているのも大阪桐蔭だけだが――に挑んだ夏の甲子園では、準々決勝で準優勝の下関国際(山口)に敗れたものの、新チームも秋の大阪、近畿を制し、神宮大会も連覇を達成して来るセンバツへの出場が濃厚だ。

 藤浪晋太郎(阪神。今オフにメジャー挑戦を表明)や森友哉(オリックス。今オフに埼玉西武からFA移籍)を擁して同校初の春夏連覇を遂げた2012年以来、この10年間でセンバツを4度、夏を3度制している(通算の甲子園制覇は9度)大阪桐蔭は全国の強豪・名門校の追随を許さず、盛者必衰の理も大阪桐蔭にはあてはまりそうにない。公式戦に勝利することよりも、敗れたことのほうが大きく報じられる学校など、大阪桐蔭ぐらいのものだろう。

 新チームの主将は、同校史上最高の左腕と目されるエースの前田悠伍だ。前チームから主戦を任され、140キロ台後半のストレートにスライダー、チェンジアップ、ツーシームと、すべての球種がウイニングショットになり得る逸材である。走者を釘付けにする牽制の技術も出色で、2023年秋のドラ1指名が確実視される。

 しかし、現代の高校野球では、球数制限などもあって、ひとりの投手が大会を投げ抜くことなど不可能で、複数投手の育成が求められる。

 常に横綱相撲の大阪桐蔭を率いる西谷監督に、意外な采配が見られたのは近畿大会の準決勝・平安(京都)戦だった。

 前田を休ませたこの試合で、先発のマウンドに上がったのは1年生の境亮陽。打順はなんと1番だった。さらに、リリーフ登板した南陽人や平嶋桂知(共に1年生)は、試合前のシートノックで外野や遊撃に入っている選手だ。根尾昂(現中日)のように、投打の二刀流を経験した選手がこれまでいなかったわけではないものの、大阪桐蔭は投打の役割がはっきりとわかれたチーム作りをしてきた印象がある。

 試合後、西谷監督は言った。

「投手が1番に入ったケースはなかなかないですね。岐阜出身の境は、中学時代に県で1番か2番目に足が速い子だったそうです。打者としての適性もあるので、下級生である今は投打の両方をやらせています。南や平嶋も含めて、野手と投手を兼任する選手が1年生には多いです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の妻・真美子さんの心の拠り所とは(写真/AFLO)
大谷翔平の妻・真美子さん、ロス暮らしでの“心の拠り所”となるのは「GLAY・TAKUROの妻」 家族ぐるみで交流、すっかり心を許し生活全般について相談する関係 
女性セブン
茗荷谷駅から徒歩1分ほどにある『丼太郎』
【牛丼並盛390円】物価高のなか『丼太郎』がチェーン店よりも安く牛丼を提供できるワケ「アルバイトは雇わずベテラン4人で」
NEWSポストセブン
逮捕された川村葉音容疑者(左)と八木原亜麻容疑者(インスタグラムより)
【北海道全裸殺人】被害者の交際相手・八木原亜麻容疑者(20)の知人が語る攻撃的な姿と「中学時代のギリギリ遊戯」
週刊ポスト
(写真/AP/AFLO)
昭和人間よ、今こそ昭和の「新語・流行語」を果敢に繰り出そう
NEWSポストセブン
車内での上皇さまとの会話を大切にされていた(8月、長野・軽井沢町。撮影/JMPA)
《車椅子2台を搭載可能》宮内庁が14年ぶりに福祉車両を購入、リハビリ中の美智子さま向けに特注か 将来的には上皇さまと揃ってご乗車の可能性
女性セブン
殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤早貴被告
「ゴム手袋をつけて…」元妻・須藤早貴被告が語った紀州のドン・ファンとの“初夜” 若者口調で感情露わに【裁判員裁判】
NEWSポストセブン
大の里の九州場所前稽古に密着
【大の里「最速綱取り」への道】九州場所前稽古に密着 二所ノ関親方やライバル琴櫻とぶつかり合い、体調不安も一蹴 8年ぶり「和製横綱」誕生への期待
週刊ポスト
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《拡散された山本由伸の LA ペアルックデート動画》“元カノ”モデル とは「今も自然体で…」新たなお相手「テラハNo.1美女」との“意外な関係”
NEWSポストセブン
松本人志は引退しない
《一方的に頭を下げたわけではない》松本人志が名誉毀損訴を取り下げるに至った「内幕」と入念に準備されたコメント内容
NEWSポストセブン
離婚を発表した菊川怜(時事通信フォト)
《玉の輿婚から8年目の決断》菊川怜、実家に戻り離婚前から見せていた“シンママの覚悟”
NEWSポストセブン
退社後初となるグラビア撮影に挑戦した渡邊渚アナ
元フジテレビ・渡邊渚アナ、8月末の電撃退社後“初グラビア” 今後の活動について「モデル撮影や執筆業など色々と挑戦していきます」
週刊ポスト
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
機関紙『山口組新報』巻頭に掲載された六代目山口組・司忍組長の近影、最新号の「編集後記」に滲むヤクザ社会が直面している課題
NEWSポストセブン