中国国家衛生健康委員会(日本の厚労省に相当)の下部機関である中国疾病予防制御センターの呉尊友・首席疫学研究員が、この冬の中国における新型コロナウイルスの感染率は全人口の10~30%で、死亡率は0.09~0.16%であるなどとする報告書を中国政府に提出した。この報告を基にすると、中国では最大で約4億人が感染し、67万人が死亡することになる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
呉氏は報告書の中で、「新型コロナウイルスの感染流行から3年が経ったタイミングで、中国政府が12月7日に発表した流行予防・管理政策『新十則』は最も時宜に適したものだった」としながらも、今後の感染流行は12月中旬から3月中旬までに3つの波がくることが予想され、全体の感染者数は少なく見積もっても1億4000万人、多い場合は中国の人口の30%に当たる4億2000万人となると指摘している。
特に、春節(旧正月)の大型連休に入る1月下旬は、都市部からの帰省ラッシュとなるため、感染数が爆発的に増加する可能性が高いとしている。
米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」によると、習近平国家主席の母校である清華大や北京大などの北京市内の大学ではこのところ、退職した教員も含めて大学関係者の訃報が発表されているという。清華大では12月1~10日に関係者11人が死亡、北京大では12月5日までの約1カ月間で少なくとも15人が死亡する状況となっている。
香港紙「明報」によると、12月1~20日に2億4800万人が感染したとする中国政府の内部資料が流出したが、感染者数は日ごとに増えており、いつ収束するか見通せない状況だ。
中国政府は12月20日、明確なコロナ感染による肺炎や呼吸不全以外は関連死に含めないとしている。公式発表による死者は連日「ゼロ」か1桁とされているが、葬儀場で行列が生じている映像も拡散されており、実態を全く反映していないのは明らかだ。