大みそか夜に放送される番組の“2大バトル”が注目を集めている。1つは「歌VSお笑い」、もう1つは「鬼ごっこ対決」だ。それぞれのバトルの注目ポイント、そして勝負の行方についてテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
* * *
ネットが普及した今なお大みそかの夜は、元日とともに「最もテレビ番組がリアルタイムで見られる」と言われる日。家族や友人が集まりやすい上に、ふだんオンデマンドなどで好きなものを見ている人も、「この日は年越しのムードがあるものを見たい」と考えることから、地上波のテレビ番組を見る傾向があります。
では、今年はどんな番組がラインナップされているのか。注目は“2つのバトル”です。
1つ目のバトルは、『第73回NHK紅白歌合戦』(NHK総合、19時20分~23時45分)の“歌”VS『笑って年越し!世代対決 昭和芸人VS平成・令和芸人』(日本テレビ系、18時~24時30分)の“笑い”。“歌”が4時間25分、“笑い”が7時間30分の長丁場ですが、「2チームに分かれての対決」「人気タレントが1対1で戦う」という形式は同じです。
2年前まで放送されていた『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!笑ってはいけないシリーズ』(日本テレビ系)は対決形式ではなかったため、「“歌”VS“笑”のバトル」というムードはありませんでした。さらに昨年放送された『笑って年越ししたい!笑う大晦日2021』はネタを順番に見せていく構成で対決形式ではなかったため、『紅白歌合戦』と比較されることはなかったのです。
2つ目のバトルは、『逃走中~大みそかSP お台場大決戦!~』(フジテレビ系、17時~23時45分)VS『THE鬼タイジ大晦日~鬼と氷の女王~』(TBS系、18時~23時45分)の鬼ごっこ対決。どちらも人気タレントや現役アスリートたちが、ルールの違いこそあれ、鬼ごっこ形式のゲームを行うアトラクション型バラエティ特番です。
これまで何度も「似ている」と比較されてきた両番組がついに直接対決。しかも『THE鬼タイジ』は昨年初めて大みそかに放送されましたが、『逃走中』は昨年の元日放送から、あえて今年は大みそかに前倒しして直接対決を仕掛けたようにも見えます。かつてフジテレビとTBSには、『PRIDE男祭り』や『Dynamite!!』など大みそかの格闘技番組で直接対決してきた歴史もあるだけに、「負けたくない」という思いは強いのではないでしょうか。
では、どんな内容で、どんな結果が予想されるのでしょうか。
『紅白』の豪華さは歴代最高級
まず『紅白歌合戦』は、11月の出演者発表時に、「『何でこの人?』という出演者が多い」「韓国系アーティストやアイドルが多すぎ」などの批判があがったほか、民放各局の音楽特番が放送されるたびに、その面白さから「#紅白大丈夫」「#紅白見ない」というハッシュタグが飛び交うなど、ネガティブなムードが続いていました。
しかし、12月に入ってから藤井風さんの追加出演が発表され、さらに“特別企画”として松任谷由実with荒井由実(AI技術を使った史上初の本人同士コラボ)、同級生バンドの桑田佳祐 feat. 佐野元春,世良公則,Char,野口五郎、朝ドラ主題歌を手がけるback number、YOSHIKIさん率いるTHE LAST ROCKSTARS、37年ぶりの安全地帯の出場が1組ずつ発表されたことでジワジワと期待感が高まっています。
アーティスト以外でも、有吉弘行さんとダチョウ倶楽部の共演や、「ブラボー」のサッカー日本代表・長友佑都選手のゲスト出演なども発表。さらに大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を終えたばかりの小栗旬さんも出演し、源頼朝を演じた司会の大泉洋さんとのコラボが予定されています。