2022年にこの世を去った3人の政治家、石原慎太郎氏(2月1日、89歳没)、安倍晋三氏(7月8日、67歳没)、アントニオ猪木氏(10月1日、79歳没)は、政治信条は異なるものの、いずれも独特の存在感を発揮した人たちだ。ライターの小川裕夫氏が、発信力が強く注目を集めることが多かった3人の政治家について振り返る。
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2022年の参議院議員選挙は、自民党と公明党の連立与党が大勝した。その参院選では、奈良県奈良市の大和西大寺駅前で演説中だった安倍晋三元首相が銃撃されて死亡するという、前代未聞の事件も起きている。
2012年に民主党から政権を奪還した安倍首相は、その後に約8年にわたる長期政権を築いた。第2次安倍内閣では、アベノミクスという看板政策で日本経済の立て直しを図ろうとしたが、残念ながら日本経済は現在も閉塞感が漂ったままだ。その安倍政権下で、もっとも成功した経済政策と言われるのが訪日外国人観光客の誘致だろう。
第2次安倍政権が発足した2012年、年間の訪日外国人観光客数は約836万人。政府は2020年までに、年間2000万人まで増やすことを目標にしていた。安倍政権が発足すると、訪日外国人観光客は爆発的に増えていき、2016年には早くも年間2404万人と目標をクリアした。
政府は目標を繰り返し上方修正したが、それも軽々とクリアしていく。最終的な目標は2020年に年間4000万人となった。この目標はコロナ禍により達成できなかったが、わずかな期間で驚異的に訪日外国人観光客数を増加させたことは、安倍政権の成果と断言していい。
訪日外国人観光客数を増加させようした安倍首相は、日本を観光立国にすることを望んでいたようだ。そして、安倍首相が観光立国を目指すようになったきっかけは、小泉政権時代に求められる。
第1次政権から安倍首相が推進した観光立国
2001年に誕生した小泉政権は、2003年に観光立国を宣言。外客誘致法を改正して、外国人観光客が多い地域には日本語のほかに外国語を表記することを努力義務に課した。しかし、一口に外国語と言っても、世界には多くの言語が溢れている。