2022年は、6月の能登地方地震(最大震度6弱)や10月の福島県沖地震(同5弱)などをはじめ大きな地震が相次いだ。国民の不安が高まるなか、測量学の世界的権威である村井俊治・東大名誉教授は、それらの地震が発生する「場所」「時期」「規模」を正確に予測、的中させてきた。
精度が高まっている理由は、村井氏が日々、予測法をブラッシュアップさせているからである。
村井氏が主宰する「MEGA地震予測」は、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGPSデータなどを使って地表の動きを捉え、1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な「隆起・沈降」、東西南北の動きの「水平方向の動き」という主な指標を総合的に分析している。
村井氏はその予測法をベースにして2020年にAI(人工知能)による危険度判定を導入。2021年には切迫度の高い時に限って発出する「ピンポイント予測」を実用化するなどして、より予測精度を高めた。
そんな村井氏が2023年に警戒すべきエリアはどこか。危険度1位から4位までの警戒ゾーンを紹介する。
【危険度1位】東北警戒ゾーン
日本海側は沈降が続く一方、太平洋側は隆起が続いているため、その境目の奥羽山脈周辺に歪みが溜まっている。
【危険度2位】北海道警戒ゾーン
水平方向の動きに異常が見られており、不安定な状態になっている。
【危険度3位】関東東部警戒ゾーン
千葉県中央部のみ沈降し続けており、その周囲では今後も大きな地震が起きる可能性がある。
【危険度4位】九州南部・南西諸島警戒ゾーン
鹿児島県の電子基準点「上屋久1」など異常変動が集中している。
【MEGA地震予測 MAPの見方】
地図中では、2022年6月5日から2022年11月12日の間に、要警戒とされる「1週間で5センチ以上の上下動」があった地点を示した。それに加え、地表の長期的な「隆起・沈降」と、地表が東西南北のどの方向に動いているかの「水平方向の動き」の分析を加味し、過去の地震発生の前兆現象と比較した上で「震度5以上の地震が発生する可能性があるエリア」を警戒ゾーンとしている。MAP上には日本気象協会が発表している2022年に起きた震度5弱以上の地震を示した。
今回は初めての試みとして、元NHKアナウンサーの安江真由美氏が詳細に説明する「ニュース動画」をまとめた。ぜひご自身の目と耳で確認いただきたい。
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【プロフィール】
安江真由美(やすえ・まゆみ)/岐阜県出身。学生時代にミスDJ デビュー。NHK名古屋放送局で報道キャスターを務めた後、WOWOWの局アナとして世界のスポーツや音楽を取材。その後アメリカへ留学し、帰国後はフリーアナとして活動している。
※週刊ポスト2023年1月1・6日号