ネット全盛の時代、若者のテレビ離れが加速し、各局のアナウンサーの役割も変化しつつある。これからテレビを彩る“華”たちはどこに向かうのか。元局アナ3人(石井希和=元テレビ朝日、中村仁美=元フジテレビ、亀井京子=元テレビ東京)が、女性アナウンサー業界の今について語った。(全3回の第2回。第1回から読む)
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亀井:若手のなかで上手だと思う女性アナウンサーはいますか?
中村:他局ですけどTBSの篠原梨菜アナ。若手アナウンサーがプレゼンする番組で初めて見て上手だなと思って。その後、一緒にバラエティに出させてもらいましたけど、点と点を線に結ぶ力があって、観察力もすごくて。本人に直接「上手だね」って褒めちゃったくらい。きっと将来すごいアナウンサーになると思う。でも、難しいですよね。局として売り出したい方向性が違ったりするので。
石井:そうなんです。今はフリーの高橋真麻アナは、フジテレビでは歌を歌ったりああいう形で売り出しましたけど、実はナレーションがめちゃめちゃ上手い! そこがもっと評価されてほしいな。
中村:真麻もそうだし、斎藤舞子アナもそう。あの代はナレーションが抜群に上手いんですけど、どう活かすか、局によって意向が違うんですよね。
石井:テレ朝だと『ステーション』と名の付く番組が花形なんです。なかでも2020年、『報道ステーション』から『サンデーステーション』に移った森川夕貴アナは実力のある正統派で、局としてはきちんと温めて育てたいと思っているのでは。
中村:その点でいえば、フジではやっぱり『めざましテレビ』ですね。朝の情報番組に出演することが看板アナとして認められた証になります。
亀井:テレ東の場合、新人アナウンサーは一通り経済系ができるように育てています。『WBS』(ワールドビジネスサテライト)の「トレンドたまご」というコーナーを担当しながらスポーツの現場に行くとか。
石井:今は即戦力の子ばかりが使われて、アナウンサーとして研鑚する場が少なくなっていると感じます。
亀井:最近は自分から売り込む時代だそうですよ。制作とかに「こういうことができます」と自分からアピールすることが求められている。私だったらきっと生きていけなかった(苦笑)。
石井:上層部に直談判するような動きが出てきたのは10年くらい前からですね。「私はスポーツやりたいです」とか、偉い人に直接希望を伝えるケースがあったり。
中村:すごい話ですね。
亀井:私がいた当時は、アナウンス部全体が身内みたいな感覚でアットホーム。落ち込んで帰ってきても、先輩や仲間に励まされたりアドバイスしてもらったりと温かかった。
(第3回につづく)
【プロフィール】
石井希和(いしい・きわ)/1977年生まれ、東京都出身。2000年にテレビ朝日入局。『ANNニュース』や『やじうまプラス』を担当。2012年に退局後はテレビ出演や司会業を行ないながら、子供や母の支援にも取り組む。
中村仁美(なかむら・ひとみ)/1979年生まれ、大阪府出身。2002年にフジテレビ入局。『クイズ!ヘキサゴンII』などで活躍。2011年にさまぁ~ずの大竹一樹と結婚。現在は3児の母とフリーアナの兼業。
亀井京子(かめい・きょうこ)/1982年生まれ、兵庫県出身。2005年にテレビ東京入局。『スポーツ魂』『ウイニング競馬』などを担当。2008年に当時巨人の林昌範との結婚を機に退社。現在は吉本興業に所属するフリーアナとして活躍。
※週刊ポスト2023年1月13・20日号