放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、M-1チャンピオン、ウエストランドについてつづる。
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皆様がこれを読んでいるのは明けて2023年。今これを書いているのは2022年の12月19日。そう、昨日は激動の一日でW杯はメッシ(アルゼンチン)がひとり勝ち(?)して『鎌倉殿の13人』は一体何人になったのか最終回も見てないので分からないが、我が“笑芸界”は誰ひとり予想だにしていなかったM-1チャンピオンウエストランド。岡山県で小さい頃から一緒だったふたりである。小さくてピュッピュッと毒を吐き、本音をもらす辛口井口が傑作。
吉本勢に囲まれる中、ウエストランドは“爆笑問題”がひっぱる事務所「タイタン」の所属。毒舌とも言われるあのネタの数々はコンプラやらなんやらで息苦しくなってきたこのマスコミに風穴を開けてくれた子蜂のひと刺しである。どんなに毒づいてもいい間でチャーミングであれば人はそれを許す。
関東の笑い……私が求めつづけ伴走してきたと断言できる談志、たけし、爆問太田の正しき継承者が小さな井口である(ほめすぎ)。
あの時の審査員である私の息のかかりすぎた志らく、ナイツ塙、サンド富澤らは失われつつあったこの関東味の芸をググッとあと押ししてくれた。感謝である。
本番のすぐ後から出演オファーが朝までつづき取材を受けるのは恒例のことなのだが、19日昼の私の『ラジオビバリー昼ズ』は3週間も前から正式にスケジュールをとってあった。マスコミ全員から「間が良すぎ」と言われた。局へ私が入ったらそっと「これ爆笑の太田さんからです」と感謝の手紙。“オールナイトニッポン”で育つ「たけし&高田チルドレン」と呼ばれる太田、志らく、塙等を経てこうしてウエストランドに受けつがれる。
これがひとつの関東の伝統となるかもしれない。錦鯉に続いて2年連続関東勢のV、これでいいのか吉本的に?
『紅白歌合戦』がラストステージとなる加山雄三、氷川きよし。どんな風に盛りあがったんだろうか。私は実質見納めコンサートと言える『氷川きよし2022 きよしこの夜』へ12月13日行った(国際フォーラム)。ふっきれた様な舞台さばき、前半は若き日の股旅ものをタップリ。後半は『限界突破×サバイバー』から明日を感じさせる選曲。思えばデビュー1年の時、コンサート終り楽屋をのぞくと私のカミさんに「おかあさーん」とハグしていたっけ。ポーッとなるカミさん、以来22年「氷川君はいい子よ」が口グセになった。
「小説すばる」で談志のことを書いた『師匠』(志らく)が連載開始。面白。
※週刊ポスト2023年1月13・20日号