2023年から歌手活動を休止し、休養に入っている氷川きよし(45才)。デビューからの23年の足跡を、コラムニストで放送作家の山田美保子さんが振り返る。
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苦しむ人に寄り添うストレートなメッセージが増えた
「お陰様で二日間とも、大盛況のうちに無事終了することができました。(中略)年内で歌手活動は一旦お休みさせて頂きますが、皆様を前に歌えることへの喜びや感謝の気持ちを忘れず、甚だ微力ではございますが、これからも氷川きよしらしく精進してまいりますので、変わらぬご厚情を賜りますよう謹んでお願い申し上げます」
所属事務所の『長良プロダクション』代表取締役・神林義弘さんとの連名で届いた氷川きよしサンからの御礼状の一文です。
“二日間とも”というのは、2022年12月13日と14日、東京国際フォーラムホールAで行われた「氷川きよしスペシャルコンサート2022〜きよしこの夜Vol.22〜」のこと。デビューの翌年から22年間、続けてきた恒例のコンサートです。
読者の皆さんもご存じのとおり、氷川サンは2022年12月31日をもって休養に入るため、ひとまずの“歌い納め”であり、ファンの皆さんにとっては“聴き納め”。長年、氷川サンと仕事を共にしてきた業界の皆さんも、「ありがとう」の気持ちをこめて、例年以上に多くの皆さんが顔を揃えたように思います。
氷川サンが“外まわり”を担当していたテレビ朝日系『旅の香り 時の遊び』(のちに『旅の香り』に改名)の構成作家のひとりだった私も同じ気持ちで席に座らせていただいたのですが、伺うか否か、行く前は少々の迷いもありました。
この1年ほど、さまざまな発信を続けてきた氷川サンから、さらなる衝撃的な発表があるのではないか。氷川サンの決断を受け止めきれないファンの皆さんが涙に明け暮れるのではないか。氷川サン自身がコンサートを楽しめないのではないか……などと思っていたからです。
でも、そんな心配は無用でした。デビュー曲の『箱根八里の半次郎』から始まって、『大井追っかけ音次郎』『きよしのズンドコ節』など、ファン以外の皆さんでも口ずさめる大ヒット曲から始まったコンサートは、ファンを公言している私にとっても、長年、氷川サンと共に歩んでいらしたファンの皆さんにとっても、23年間の道程を再確認し、改めて「歌手・氷川きよし」の唯一無二の歌声と表現力を心から絶賛できる機会となったのです。