歳を重ねるごとに変化していく家族構成は、寿命と関係があるという。弘前大学と京都府立医科大学の研究チームは2017~2019年、全国で平均寿命が最も短い青森県弘前市と、100歳以上人口が全国平均の約3倍に達する京都府京丹後市に住む65歳以上の計約700人の様々な生活実態を調査した。
そのなかで表われた違いが同居者の数だ。弘前市は3.3人だったが、ご長寿の京丹後市は2.6人だった。調査を担当した京都府立医科大学の的場聖明教授が解説する。
「大家族の場合、周りが世話をしてくれることで本人の“生存能力”が下がることがある。逆に同居人が少ないと何でも自分でやるので脳が活性化されて体力も維持できる。そのため長寿につながる可能性があります」
精神科医の和田秀樹氏はこう推察する。
「大家族と聞くと和気あいあいを想像しますが、現実は異なります。日本人は家族にも遠慮する一面があり、一緒に暮らすと食事の好みや生活スタイルの違いからイライラしがちです。独居老人と同居老人では、同居のほうが自殺者が多いという統計もある。独居は寂しそうに見えますが実は気楽で、同居は楽しそうだけど実はストレスが多いのです」
男性の寿命と大きく関係するのが「妻の年齢」だ。
ドイツのマックス・プランク研究所が約200万人(1990~2005年)のデンマーク人既婚カップルを調査し、2010年に公表した研究によると、7~9歳年下の女性と結婚した男性の死亡リスクは、同年齢同士のカップルの場合より11%低かった。和田氏が語る。
「自分より年齢の若い女性を妻にできる男性は男性ホルモンが多く、性生活が盛んで若々しい可能性があります。長生きできる要素を持っていると考えられます」
※週刊ポスト2023年1月13・20日号