このオフのFA市場は、パ・リーグ球団の積極的な補強が目立った。ソフトバンクが日本ハムの近藤健介、DeNAの嶺井博希を獲得。リーグ連覇を飾ったオリックスは西武の正捕手・森友哉の補強に成功し、日本ハムは森に押し出される形となったオリックスの伏見寅威を獲得した。
スポーツ紙デスクは、こう振り返る。
「近藤は指名打者のあるパ・リーグで輝く選手。森もオリックスと相思相愛の雰囲気だったので、他球団は参戦を見送った。伏見はオリックスで正捕手格だったので、セ・リーグの球団も獲得に動くと思われたが、北海道出身だったこともあり日本ハムが熱心だった」
セ・リーグの球団が静観したFA人事。早くも注目されるのが、2023年オフの「FAの目玉」だ。西武・山川穂高が順調にいけば今季中に国内FA権を取得する。2018年に47本塁打、2019年に43本塁打で2年連続タイトルを獲得。その後は故障や打撃フォームを崩して精彩を欠いたが、昨年に見事復活。打率.266、41本塁打、90打点で自身3度目の本塁打王に輝いた。
西武は主力選手がFAで他球団に流出するケースが目立つ。山川の親友でもある正捕手の森の移籍で12球団最多の20人がFAで退団している。山川は球団の4年契約の提示を拒否し単年契約を結んだことから、FA権を取得すれば行使する可能性が高いとみられる。昨年7月の球宴では山川が「(FAで)ソフトバンクに行くらしいよ」と話す選手同士の会話が動画で流れ、波紋を呼んだ。噂話の真偽は不明だが、西武ファンは気がかりだろう。
福岡の民放テレビ局関係者は、「山川がFAすれば、ソフトバンクが獲得に動くのは間違いない。4番を任せられる長距離砲が補強ポイントで、同一リーグで対戦してきたことからその実力は十分に把握している。ただ、他球団も当然狙っているでしょう」と予測する。
セ・リーグの狭い球場を本拠地にすれば40本塁打は固い。セ、パを含めた複数球団の争奪戦に発展する可能性が高いとみられるが、セ・リーグの編成担当は「山川よりDeNA・今永昇太を欲しい球団が多いのでは」と指摘する。
「先発ローテーションでエース左腕になれる投手はどの球団も欲しいでしょう。野球に取り組む意識も高く、若手に好影響を与える。メジャーの評価が高い投手だが、今季中に国内FA権を取得する。権利を行使したら複数球団の争奪戦になることは間違いない」