レースによって傾向はある。馬柱の比較だけではない要素も馬券検討では重要だ。競馬ライターの東田和美氏が考察した。
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中京競馬場の2200mで行なわれるようになって3年目。かつては有馬記念で上位に来た馬が、年が替わって最初に出走するような格の高いGⅡのハンデ戦だったが、2011年のローズキングダム以降GⅠ馬の出走はなく、ここ10年では連対馬もわずか2頭だけ。3着以内の実績があるのも4頭だけだ。翌週に中山競馬場の同じ距離で行なわれるアメリカジョッキークラブカップにくらべても、勝敗はともかく出走馬の実績はかなり控えめだ。やはりこの時期の重賞は、格ではなくさらに高みを目指す馬の試金石。トップハンデ馬も未勝利だ。
過去10年で明け4歳馬は29頭出走して8勝2着3回。2018年は4歳馬の出走がなかったので、勝てなかったのは1回だけ。このレースで手ごたえを掴んでGⅠ馬に上り詰めたシュヴァルグラン、ミッキーロケット、グローリーヴェイズも、この時点ではまだオープンに上がりたての4歳馬だった。
3着までに入った馬30頭を見ても重賞勝ちがあるのは5頭だけ。実に12頭までが前走条件戦。3勝クラスを勝ち切れなかったり2勝クラスだったりする馬もいる。
2014年の勝ち馬サトノノブレスが翌年(13着)、翌々年(3着)も出たように、いわゆる“リピーター”も目立つが、馬券に絡んだのはこの馬と2014年3着→2015年2着のフーラブライドだけ。7歳以上馬が馬券圏内に入ったことはない。今年もアフリカンゴールドが4回目、サンレイポケット、モズナガレボシが2回目の出走になるが、このレースに限ってはその経験が生きるというデータはない。
ホープフルステークス2着、前走ジャパンカップ3着と久々の“GⅠ連対馬”ヴェルトライゼンデにとってこの舞台はいかにも役不足ではないか。トップハンデ59キロは厳しそうで押さえまで。
6歳馬なら伊藤工騎手が完全に手の内に入れているロバートソンキーの方がキャラ的にこのレース向き。距離的にもちょうどよさそうだ。
しかし軸はやはり伸びしろのある4歳馬。なかでも勝ち馬から離されたとはいえ菊花賞で最後しぶとく足を延ばしてきたヤマニンゼスト。開幕ダッシュに成功した武豊騎手は父シンボリクリスエス、母の父ディープインパクトだけでなく、母ヤマニンバステド、母の母マダニナにも騎乗しており、まさに「SDGsな感じ」の血統。「ヤマニン」ブランドの復活に期待したい。
プラダリアは青葉賞勝ちでダービー5着という4歳馬。このレースで結果を伸ばせば、GⅠ戦線でも活躍しそう。2016年のレーヴミストラルが似たような戦績で勝っているし、なによりディープインパクト産駒だ。
5歳馬イクスプロージョンはここ2回の着順が不本意だが、前走中日新聞杯は勝ち馬からコンマ2秒差。昨年中京競馬場で2勝しているというのが不気味だ。
年の初めのGⅡだけに、新たなスター候補生の誕生に期待したい。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。