アメリカのインド太平洋軍はこのほど声明を発表し、昨年末、南シナ海上空で任務中の米空軍RC-135偵察機に対して、中国海軍戦闘機「殲11(J-11)」が20フィート(6メートル)以内に急接近する危険な飛行を行ったとして、強く批判した。中国国防省は「米側が意図的に大きな危機を作り出し、中国の主権と領土の一体性を著しく損なった」と反論している。ロイター通信などが報じた。
米インド太平洋軍によると、12月21日、米軍が南シナ海の国際空域で合法的に通常作戦を遂行していたところ、中国海軍戦闘機「殲11」のパイロットが米空軍RC-135偵察機に対して安全ではない操作を行い、両機は互いに20フィート(6m)以内の距離に接近した。RC-135偵察機は中国軍機との衝突を避けるために、非常にきわどいタイミングで回避行動を取らざるを得なかったという。
そのうえで、米軍側は「自由で開かれたインド太平洋地域を構築し、国際法の下ですべての船舶と航空機の安全に十分配慮して、海上および国際空域を飛行、航行、運用することを継続する。インド太平洋地域のすべての国が、国際法に従って国際空域に安全にアクセスできることを期待している」と述べている。
中国軍機のニアミスは米軍機に対してだけではない。オーストラリア国防省は昨年5月、「南シナ海上空で中国の戦闘機がオーストラリア軍偵察機に非常に接近して飛行し、極めて危険な状況に陥らせた」と発表。また、カナダ軍も同月、北朝鮮の制裁逃れ行為の監視中のカナダ軍哨戒機に、中国軍機が異常に接近し、カナダ軍機の飛行経路を変更させたと述べており、中国軍機の無謀な飛行について、各国から批判が集中している。
米軍の幹部はロイター通信などに対して「このような中国軍の挑発的で危険な飛行が続けば、いずれ大きな事故につながるか、偶発的な戦闘が発生し、軍事紛争に発展しかねない」と危機感を募らせている。
アメリカを始めとする西側と中国の軍事的緊張は今年もますます高まりそうだ。