スポーツ

【豊ノ島・廃業の舞台裏】二転三転を繰り返した伝統の年寄株「井筒」の行方

左から正代、時津風親方、元関脇・豊ノ島の井筒親方、豊山(時事通信フォト)

元関脇・豊ノ島(左から3番目)は「井筒」を襲名したものの…(2022年撮影。時事通信フォト)

 元関脇・豊ノ島(39)が1月4日、突然の廃業を発表し、角界関係者、大相撲ファンの間で衝撃が走った。引退後は井筒親方として、明るいキャラクターと巧みな話術で人気を博した豊ノ島だったが、廃業の裏には根深い「年寄株」問題がある。

 豊ノ島は引退後、年寄株を取得できなかったが、「井筒」の権利を借りていた。その借用期限が昨年末までだったというのだ。年寄株を得て相撲協会に残れば高待遇が約束されるとして、かつては年寄株が高額で売買されていたこともあった。2014年の相撲協会の公益財団法人化に際して、税制上の優遇措置を受けるうえで、構成員の資格が高額で売買されていることが問題視され、「年寄株」は協会の一括管理となっていたが、その本質は変わっていないという。【全3回の第2回。第1回から読む

 豊ノ島の廃業の裏で何が起きていたのか。問題の「井筒」は元関脇・逆鉾の名義だったが、2019年に58歳で急逝。そこから複雑な経過を辿った。ベテラン記者が言う。

「『井筒』の後継者を指名するのは元・逆鉾の未亡人。後援者らは伝統ある井筒部屋を存続させるべきとの声が強く、まず逆鉾の実弟である錣山親方(元関脇・寺尾)に声がかかるも固辞。井筒部屋出身の立田山親方(元前頭・薩洲洋)が一時的に継いで井筒部屋所属の横綱だった鶴竜に株をつなぐ案もあったが、未亡人が首を縦に振らずに部屋はいったん閉鎖された」

 2020年に豊ノ島が“借り株”で「井筒」を襲名するも、その先行きは不透明なままだった。2021年3月には鶴竜が引退。「井筒」を継いで部屋を再興する説も根強くあるが、そうはならないようだ。若手親方が語る。

「未亡人は長女の結婚相手に『井筒』を継がせる方針とされ、鶴竜はすでに2014年にモンゴル人女性と結婚していた。長女の結婚相手として同じ時津風一門の複数の力士の名が挙がったが、結果的に昨年6月に木瀬部屋(出羽海一門)の関取・志摩ノ海と入籍。志摩ノ海は婿養子となり、『井筒』を継ぐのが確実視されている」

 閉鎖後に旧・井筒部屋の建物は取り壊されたが、跡地には7階建てのマンションができた。

「1~2階は相撲部屋に使えるつくり。志摩ノ海が井筒部屋を再興するのが既定路線なのだろう」(前出・ベテラン記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン