国際情報

不透明な中国でのコロナ感染実態 世界が恐れる「変異株」と中国人観光客による拡散

(共同)

春節で大移動が始まっている(共同通信社)

 いつになったら新型コロナとの闘いに終止符が打たれるのか──。多くの人がそう感じながら、押し寄せる流行の第8波に不安を覚えている。だが、国内の感染拡大とは比べものにならないほどの大波が、春節の“観光気分”とともに届こうとしている。

 火葬場では遺体を乗せた車が1km近い行列をなし、病院では廊下やロビーにまでベッドが並べられている──。

 およそ3年前に世界が体験した光景が2023年年初の中国で繰り広げられている。現在、中国全土で新型コロナが猛威を振るい、感染者や死者が爆発的に増加しているのだ。

 だがそうした悲惨な状況にもかかわらず、中国当局が打ち出したのはまさかの「コロナ規制撤廃」だった。1月8日、中国はコロナ対策で超厳格にしていた出入国・出入境規制を緩和。およそ3年ぶりに中国人は「移動の自由」を手に入れた。

 中国在住の日本人が語る。

「これまでは空港に入場する際に陰性証明書が必要でしたが、いまはいらなくなりました。外国から中国に戻ってきたときの隔離措置やPCR検査も撤廃され、事実上の“海外旅行解禁”となりました」

 そして迎えるのが、中国人が大移動する春節の連休(1月21~27日)だ。延べ21億人の移動が見込まれるなか、日本にも多くの中国人がやって来る。そのとき、いったい何が起きるのだろうか。

 コロナ発生後、中国は徹底してウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策を断行し、全国民にPCR検査を繰り返し、感染者や濃厚接触者が出たら即座に隔離して一帯を封鎖した。

 しかし昨年12月、当局は方針を大転換。オミクロン株は軽症、無症状が9割以上で、重症率は1%前後にとどまるなどのデータをもとに従来の検査や隔離、各種規制を次々と撤廃し、「ウィズコロナ」に踏み切った。

 結果はどうか。1月上旬の段階で、中国当局が公表した昨年12月上旬〜1月上旬までの死者は中国全土でわずか数十人にとどまった。

 だが「この数字は実態とは大きく異なる」と、国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎さんが指摘する。

「ワクチン接種が進んでいないのに一挙に規制を撤廃したことから、中国全土で感染が急拡大しました。ところが当局は大規模なPCR検査を取りやめ、基礎疾患の悪化で死亡してもコロナの死者には含まない方針を打ち出したため、感染者数や死者数の実態が把握できなくなった。世界保健機関(WHO)も『中国政府はコロナの本当の影響を過少報告している』と批判しています」

 医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんも中国当局の姿勢を批判する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン