放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、落語WBCなら間違いなくクリーンナップの立川志の輔、立川談春、立川志らくによる「三人会」についてつづる。
* * *
ジャーン、まだ1月だというのに嬉しすぎて衝撃的なお知らせです。こんな世の中だからこそ少しはお江戸もにぎやかに楽しくしなければ御先祖様に申し訳ない。落語ファンのみならず演芸マニア、大衆娯楽道楽な皆様が、待ちに待った夢のような会の告知です。談志フェチだけでなく、私がいま一番見たい聞きたい会をてっとり早く自分で企画してしまいました。
立川志の輔、談春、志らくの「立川流三人の会」IN明治座です。立川一門の三羽烏にとどまらず、今や落語にWBCがあるのなら間違いなくクリーンナップに顔を並べる3人です。カリスマ立川談志から個性的な三人三様の芸をみせる男達が誕生するなんて……これは奇跡です。私が知る限り落語史上これだけの最強の3人が揃った一門はなかったと断言できます。
2000年の頃、談志から家に呼ばれて「オレもエイロク(永六輔)も年をとった。これからは“東京の芸”の規準を高田とする。お前がいいと思ったものは良し。駄目なものは切っていい。なんやかんや言ぅ奴がいたらオレが出てってやる」
そんなこともあって2005年に「第一回 立川流三人の会」を紀伊國屋ホールで。なんと師匠が見にきていて一番最後まで客席できいていた。3人もびっくり。最後には舞台にもあがってくれた。終わってそっと私を呼んで耳元で「あなたにしか出来ないいい仕事をしてくれました。いい会をありがとう」と頭を下げられた時は、本当にチビリそうになった。
2008年に「第二回 三人の会」を紀伊國屋サザンシアターで。あの日からプツリ。そして2011年には師匠が亡くなり2012年には私が倒れた。3人はそれぞれ己れの芸の道を進み磨いていった。芸の上では兄弟とは言え個人商売、みんなライバルである。それも特上のライバルがこの3人なのだ。
第二回から15年もの月日が流れ、私も様々思うところもあって機は熟したなと考え3人に声を掛けた。ああ見えて本質は気のいい連中なので、私が言うならと快諾してくれた。阿吽の呼吸である。談志というDNAが色濃く流れる3人の高座。貴方も落語の歴史の証人になってみませんか。
「高田文夫プロデュース 第三回 立川流三人の会」は3月29日(水)。昼の部は13時、夜の部は18時開演です。昼も夜もまったく違う噺になると思います。気になる前売り券発売の詳細は明治座ホームページで確認して下さい。
談志が言った「江戸の風」がきっと吹きます。
※週刊ポスト2023年1月27日号