北朝鮮の無人飛行機による韓国への越境偵察飛行が常態化しつつあるなか、北朝鮮ではガソリン不足でひまし油を混ぜて燃料としていることが明らかになった。このため、北朝鮮国内で墜落してしまう無人飛行機が後を絶たないという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
朝鮮人民軍が無人飛行機を導入したのは1990年代後半で、無人飛行機の実用化のために、金策技術大学や北朝鮮科学大学などのエリート校の優秀な学生を動員して設計や製造に当たらせた。
完成した無人飛行機は「南朝鮮(韓国)への潜入訓練」のために特殊部隊にのみ供給され、有事の際に標的を正確に攻撃するための偵察や、韓国内の部隊や関連地形の撮影に使われている。
北朝鮮の無人飛行機が昨年末、ソウルの青瓦台周辺を飛行したことが確認されている。この侵入を受け、韓国軍は戦闘機と攻撃用ヘリコプターを発進させ、無人機へ銃撃を行ったものの、撃墜はできなかった。
これについて、韓国軍は撃墜できなかったことを謝罪し、尹錫烈大統領は今後、こうした事件に対応するため、最先端の無人機を備えた軍部隊の創設を加速させると述べている。
北朝鮮の情報筋はRFAに対して、ガソリンは貴重で、ガソリンが供給された場合でも1日に1時間程度しか飛行訓練ができないばかりか、ひまし油を混ぜてエンジンを動かすことになり、その結果、エンジン故障による無人飛行機墜落事故が頻発していると明かしている。
こうした燃料不足は空軍パイロットの練度不足にもつながっており、北朝鮮の軍事戦略は見直しを迫られている。