ライフ

筋肉がつきにくく内臓脂肪がつきやすい日本人のための「運動」「睡眠」「入浴」

(写真/GettyImages)

日本人の筋肉は約70%が「マラソン型」だという(写真/GettyImages)

「日本人は牛乳に弱く、お米に強い」。食べ物と遺伝子の相関関係をひもといた第1弾に引き続き、今回は運動や生活習慣について紹介する。長年、日本人の「遺伝子」と「体質」を研究してきた予防医学の第一人者である内科医・奥田昌子さんが解説する。【短期集中連載第2回。第1回を読む】

 * * *
 世界の人々は長い年月の間に遺伝子を少しずつ変化させ、暮らす地域の生活習慣、気候風土に適応しながら、それぞれ異なる体質を身につけました。日本人は、欧米人とくらべて動脈硬化になりにくい、骨が強い、腸内環境がきれいなどの強みを持つ一方、内臓脂肪がつきやすいという弱点があります。

 内臓脂肪は皮下脂肪とくらべて危険度が高く、悪性物質を作るため、増えれば増えるほど高血圧や糖尿病、脳梗塞などの生活習慣病、そして、がんの発症率を高めます。日本人は一般的に欧米人ほど太っていませんが、お腹にたまった内臓脂肪が病気を引き寄せるのです。これは遺伝子で決まっていて、日本人だけでなくアジア人に広く見られます。

 それにしても、病気につながる不利な体質をアジア人が受け継いできたのはなぜでしょうか。ここには意外な理由が隠れています。

 四足歩行の動物と違い、人間は生活時間のほとんどを立った状態で過ごすため、そのままだと内臓が重力でずり落ちて、適切に機能できなくなります。そんなことにならないように発達したのが、お腹の両側にある腹斜筋と腹横筋です。この2つの筋肉は、コルセットのように内臓を外から支えています。

 ところが、筋肉の強さには人種差があります。アフリカ人や欧米人は腹斜筋と腹横筋が強くなるタイプの遺伝子を持っているのですが、日本人を含むアジア人は遺伝子が異なるため、筋力が弱く、内臓を充分に支えることができません。その弱点を補うために、アジア人は内臓と内臓の間に脂肪をため込むようになり、内臓脂肪をクッションにして内臓を正しい位置に固定するようになった可能性があります。内臓脂肪も少量であれば、大切な役割を果たすのです。

 余分な内臓脂肪を落とすためには、まず肉や牛乳、洋菓子など、脂質の多い食品を控えてください。そして欠かせないのが運動です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン