寒さがピークを迎えるなかではあるが、アイスクリームの売り上げは年間を通じて好調だ。一般社団法人・日本アイスクリーム協会の調査によると、2021年度のアイスクリーム及び氷菓の市場規模は、5258億円(メーカー出荷ベース)となり、過去最高を記録した。
大手スーパーの売り場担当者が言う。
「かつて夏に子供が食べるものと認識されていましたが、“冬アイス“や”大人アイス“という言葉が登場し、近年は季節を問わず、老若男女が購入しています。中高年層には、定番のバニラ、あずきアイスが人気です」
そのアイスについて、意外な「健康効果」が報告されている。杏林大学名誉教授の古賀良彦医師が解説する。
「2013年に森永乳業と共同でアイスクリームが脳機能に与える影響について実験したところ、朝にアイスクリームを食べることで脳の働きを高め、目覚めがすっきりして頭の回転が速くなる効果が確認されました。被験者は、チョコでコーティングされた一口大のバニラアイス1粒とかき氷をそれぞれ摂取。その後、脳波を測ると、アイスのほうが脳の活動が安定し、心理的にリラックスしている状態を示す高周波数のα波が出ていることがわかったのです」
実験では、物の形の見極めなどの情報処理能力の上昇も確認されたという。古賀医師が続ける。
「食事で摂取した栄養が腸で吸収され脳に運ばれるまでには時間がかかりますが、アイスには即効性があります。私も毎日ではありませんが、シャキッとしたい朝は冷凍庫に常備しているアイスを口にしています。食べる量はひと口でもふた口でも構いません」
ひと口の「朝アイス」が脳を活性化するように、朝起きた後、何かを口に入れることは身体にとって極めて重要だ。内科医の秋津壽男医師(秋津医院院長)はこう言う。
「三食のうち朝食が一番大事だと言えます。前の食事(夕食)から最も時間が空く朝食を抜くと、(脳の唯一の栄養である)ブドウ糖の不足する飢餓状態が続き、午前中のパフォーマンスが低下します。そればかりか、空腹のまま活動すると交感神経が優位になり、心血管系に負荷がかかります。空腹が過ぎると次の食事が過食になりがちで、肥満や脂質異常症につながりかねず、動脈硬化が進んで脳血管障害を引き起こすリスクも高まります」
※週刊ポスト2023年2月3日号